大好きな貴方へ
「私、大好きだったんです」
女は言う。酷く悲しい顔をして、指先が白くなるほど手を握りしめ悔しそうに吐いた。
「初めてだったんです。あんなに好きになったの。あんなにほしいって思ったの。」
「でも、私がどれだけあの子を好きでもあの子は私のことを好きにはならないの」
彼女_追川三木_は、長い少し茶髪の髪を揺らしながら窓の外を眺めた。彼女は28歳の看護師である。
窓からは綺麗な景色など見えない、ただの田舎の喫茶店から追川は昔のことを思い出していた。
「あの子は、真面目そうでちっとも面白くもないクラスに1人はいるオタク気質の子のはずだったのにね。」
いつの間にか友達になってて、いつの間にかいないと寂しい子だったの。そう言いながら追川は笑う。手元にあるグラスの中にある氷をカラン、と揺らしながら話し始めた。
「初めて会ったのはね、高校受験のときなの。」
私は、意地悪しようと思って覚えてないフリしたんだけどね、冬も終わって3月の上旬に受けた公立の高校受験。彼女とは受験番号が2個違いだったの。それが初めての出会い。
初めて会った彼女は、失礼だけど芋くさくって。髪の毛もモブって感じのショートカットでセーラー服も草臥れて、鈍臭い感じの雰囲気がしてた。
私みたいなキラキラした人種とは大違いの陰キャって子。それが彼女に対する第一印象。
それで次に会ったのは高校に入学した時。そのときは髪も短くなって、制服もしっかりしてて…でもそれでも隠しきれないオタク感はあったかな…
そこで初めて彼女の顔をまじまじと見たの。
もうね、すっごくびっくりしたの。もう心の中のまっくらな海に明るくて光り輝く宝石がたくさん落ちてきたみたいな感じだった。
あ、私この子のこと好きだって。直感かな?本能かな?分かんないけどなんかそう思っちゃったの。
おかしいよねぇ。そのときはさ、なんでこんな子が?って自分にイラつきもしたし、なんでこの子は私のことを見ないんだってムカつきもした。
けど、その子と友達になって気づいたの。やっぱり好きだなって。あの子も私のことを好きだったのは知ってるの。それを押し殺そうとして避けちゃってたことも。
そんな所も可愛くて大好きで愛おしいなって思ってたのに。
いつの間にか、あの子死んじゃってたもんね____
秋の生暖かいような、それでいて少し肌寒いような風が追川の膝丈の黒いスカートを揺らす。しゃがみながら手元のグラスを彼女の墓に置き、追川は言った。
「凪々が悪いんだよ。そうやって思い詰めるから。」
そこには1つのグラスと、1台のスマホのみ残されていた。スマホの画面は割れヒビ割れた画面の隙間からは、「私、大好きだったんです」から始まる遺書が書かれていた。
女は言う。酷く悲しい顔をして、指先が白くなるほど手を握りしめ悔しそうに吐いた。
「初めてだったんです。あんなに好きになったの。あんなにほしいって思ったの。」
「でも、私がどれだけあの子を好きでもあの子は私のことを好きにはならないの」
彼女_追川三木_は、長い少し茶髪の髪を揺らしながら窓の外を眺めた。彼女は28歳の看護師である。
窓からは綺麗な景色など見えない、ただの田舎の喫茶店から追川は昔のことを思い出していた。
「あの子は、真面目そうでちっとも面白くもないクラスに1人はいるオタク気質の子のはずだったのにね。」
いつの間にか友達になってて、いつの間にかいないと寂しい子だったの。そう言いながら追川は笑う。手元にあるグラスの中にある氷をカラン、と揺らしながら話し始めた。
「初めて会ったのはね、高校受験のときなの。」
私は、意地悪しようと思って覚えてないフリしたんだけどね、冬も終わって3月の上旬に受けた公立の高校受験。彼女とは受験番号が2個違いだったの。それが初めての出会い。
初めて会った彼女は、失礼だけど芋くさくって。髪の毛もモブって感じのショートカットでセーラー服も草臥れて、鈍臭い感じの雰囲気がしてた。
私みたいなキラキラした人種とは大違いの陰キャって子。それが彼女に対する第一印象。
それで次に会ったのは高校に入学した時。そのときは髪も短くなって、制服もしっかりしてて…でもそれでも隠しきれないオタク感はあったかな…
そこで初めて彼女の顔をまじまじと見たの。
もうね、すっごくびっくりしたの。もう心の中のまっくらな海に明るくて光り輝く宝石がたくさん落ちてきたみたいな感じだった。
あ、私この子のこと好きだって。直感かな?本能かな?分かんないけどなんかそう思っちゃったの。
おかしいよねぇ。そのときはさ、なんでこんな子が?って自分にイラつきもしたし、なんでこの子は私のことを見ないんだってムカつきもした。
けど、その子と友達になって気づいたの。やっぱり好きだなって。あの子も私のことを好きだったのは知ってるの。それを押し殺そうとして避けちゃってたことも。
そんな所も可愛くて大好きで愛おしいなって思ってたのに。
いつの間にか、あの子死んじゃってたもんね____
秋の生暖かいような、それでいて少し肌寒いような風が追川の膝丈の黒いスカートを揺らす。しゃがみながら手元のグラスを彼女の墓に置き、追川は言った。
「凪々が悪いんだよ。そうやって思い詰めるから。」
そこには1つのグラスと、1台のスマホのみ残されていた。スマホの画面は割れヒビ割れた画面の隙間からは、「私、大好きだったんです」から始まる遺書が書かれていた。