クール王子はワケアリいとこ
「……皓也?」
わたしの呟きを何人かは拾ったようだ。
「え?」と声を上げて黙り込む人が数人いた。
それは徐々に広がって、あれだけやかましかったのに辺りはシーンとなる。
誰も何も言えない中、皓也が近づいてきて言った。
「……何してんの?」
その顔は無表情に見えるけど、声には怒りが滲んでいる。
「……っ……ぁ……」
明らかな怒りを感じて、彼女たちは言葉を詰まらせる。
説明できるわけがない。
はじめこそはわたしと皓也の関係を確認したいだけだったみたいだけど、最終的にはわたしを貶めることばかりを口にしていた。
その悪口は当然皓也にも聞こえただろう。
だから言い訳も出来ない。
かといってわたしが言うのも告げ口みたいで嫌だ。
結果、みんなが黙り込む。
気まずい雰囲気だけが流れ、どれくらい経ったのか。
「で? 何してんのって聞いたんだけど?」
皓也は追及をやめるつもりはない様だ。
そうなると何かを話さなきゃならないと思ったんだろう。
誰かが小さく呟くように言った。
「その人が嘘つきだから悪いんだよ」
小さくても、この場が静かだったためよく聞こえた。
そして、一人が言葉を口にすると同調するように他の声も上がる。
「そうだよ。そうび先輩が嘘つかなきゃ、あたし達だってあんなこと言わなかったもん」
「そうそう! わたし達のことバカにしてさ!」
またヒートアップしてくる。
自分たちは悪くないって思い込みたいんだろうけれど、ここまでくると怒りより呆れしかない。
思わず呆れをそのまま溜息として出してしまう。
リーダーの子とか、その近くにいた数人がそんなわたしの様子に気付いた。
「っ! 何よ、やっぱりあたし達の事バカにしてるんじゃない!」
そう言ってわたしに掴みかかって来る。
ヒートアップして理性的な判断が出来なくなっている彼女達にする反応じゃなかった。
と後悔しても遅い。
わたしはそのまま突き飛ばされてしまう。
しかも運の悪いことに、身を守ろうと手をついた場所にガラスの破片の様な鋭いものがあった。
「痛っ!」
想定外の痛みに顔を顰める。
ケガをしたところをすぐに確認すると、思った以上に綺麗にスパッと切れている。
でも深い傷ではなさそうだ。と安心したのもつかの間。
今度は思った以上に血があふれ出してきた。
え? これってヤバイ?
ちょっと血の気が引く。
でもそんなわたし以上に血の気が引いたのはわたしを突き飛ばした子だった。
「ひっ……あ……」
青ざめて、少し震えてもいる様だ。
それはその子の周囲から彼女達全体に伝染し、一種の緊迫した雰囲気で沈黙が落ちる。
でもそれは一瞬で、誰かが「わ、わたし知らないから!」と言って走り去ってしまうと「わたしも」「あたしのせいじゃないし」とバラバラに走り去ってしまう。
わたしを突き飛ばした本人は、「ごめんなさい」と一応は謝ってから行った。
それは良かったと言うべきなのか……。
わたしの呟きを何人かは拾ったようだ。
「え?」と声を上げて黙り込む人が数人いた。
それは徐々に広がって、あれだけやかましかったのに辺りはシーンとなる。
誰も何も言えない中、皓也が近づいてきて言った。
「……何してんの?」
その顔は無表情に見えるけど、声には怒りが滲んでいる。
「……っ……ぁ……」
明らかな怒りを感じて、彼女たちは言葉を詰まらせる。
説明できるわけがない。
はじめこそはわたしと皓也の関係を確認したいだけだったみたいだけど、最終的にはわたしを貶めることばかりを口にしていた。
その悪口は当然皓也にも聞こえただろう。
だから言い訳も出来ない。
かといってわたしが言うのも告げ口みたいで嫌だ。
結果、みんなが黙り込む。
気まずい雰囲気だけが流れ、どれくらい経ったのか。
「で? 何してんのって聞いたんだけど?」
皓也は追及をやめるつもりはない様だ。
そうなると何かを話さなきゃならないと思ったんだろう。
誰かが小さく呟くように言った。
「その人が嘘つきだから悪いんだよ」
小さくても、この場が静かだったためよく聞こえた。
そして、一人が言葉を口にすると同調するように他の声も上がる。
「そうだよ。そうび先輩が嘘つかなきゃ、あたし達だってあんなこと言わなかったもん」
「そうそう! わたし達のことバカにしてさ!」
またヒートアップしてくる。
自分たちは悪くないって思い込みたいんだろうけれど、ここまでくると怒りより呆れしかない。
思わず呆れをそのまま溜息として出してしまう。
リーダーの子とか、その近くにいた数人がそんなわたしの様子に気付いた。
「っ! 何よ、やっぱりあたし達の事バカにしてるんじゃない!」
そう言ってわたしに掴みかかって来る。
ヒートアップして理性的な判断が出来なくなっている彼女達にする反応じゃなかった。
と後悔しても遅い。
わたしはそのまま突き飛ばされてしまう。
しかも運の悪いことに、身を守ろうと手をついた場所にガラスの破片の様な鋭いものがあった。
「痛っ!」
想定外の痛みに顔を顰める。
ケガをしたところをすぐに確認すると、思った以上に綺麗にスパッと切れている。
でも深い傷ではなさそうだ。と安心したのもつかの間。
今度は思った以上に血があふれ出してきた。
え? これってヤバイ?
ちょっと血の気が引く。
でもそんなわたし以上に血の気が引いたのはわたしを突き飛ばした子だった。
「ひっ……あ……」
青ざめて、少し震えてもいる様だ。
それはその子の周囲から彼女達全体に伝染し、一種の緊迫した雰囲気で沈黙が落ちる。
でもそれは一瞬で、誰かが「わ、わたし知らないから!」と言って走り去ってしまうと「わたしも」「あたしのせいじゃないし」とバラバラに走り去ってしまう。
わたしを突き飛ばした本人は、「ごめんなさい」と一応は謝ってから行った。
それは良かったと言うべきなのか……。