クール王子はワケアリいとこ
そうしてわたしが加野さんとやりとりしている間に、安藤先生がわたしを立たせてくれて手のケガの様子も見てくれていた。
「良かった、見た目ほど大したケガじゃないよ。血も止まってるみたいだし」
その言葉でホントにちょっと切っただけなんだと分かってホッとした。
まだ痛いけど、大事にはならなくて良かった。
「加野さん、悪いけど萩原さんを保健室に連れて行ってくれないかな」
「悪いなんてそんな! 当然行きますよ!」
憧れの先生に頼まれたからか、加野さんは大袈裟なほど意気込んで答える。
「ほら、そうちゃん行こう!」
意気込みつつ、わたしを気遣ってかケガをしていない方の腕を掴んで優しく引っ張った。
「うん、ありがとう。あ、安藤先生もありがとうございます」
加野さんに引かれて歩きながら、忘れずに安藤先生にも慌ててお礼を言う。
安藤先生は「大したことはしてないよ」と笑顔で送り出してくれる。そして皓也に向き直った。
「皓也くんも、もう帰りなさい。今日は部活ないんだろう?」
安藤先生のその言葉に、無言で頷く皓也の姿だけが見えた。
校舎内に戻って保健室に行く途中、特に何も話さずわたしの腕を引っ張っていた加野さんが「そういえば」と話し出した。
「そうちゃんと皓也くんって、どんな関係なの?」
やっぱり気になってしまうか。
話を聞いてすぐにわたしのところに来てくれた皓也を見たら、無関係とも思えないだろうし。
昨日手を引かれて一緒に帰って行った事とかも、ファンクラブの子達が知ってたくらいだから情報通の加野さんが知らないわけ無いだろうし。
「えっと、いとこなの」
とりあえずその事実を伝えてみる。
「え!? そうちゃんいとこいなかったんじゃないの!?」
すると凄くビックリされた。
小学校の頃からの同級生になら話した事もあるから知ってる人は知っている。
確かに加野さんも小学校の頃からの同級生だけど、彼女の前で話した覚えは無いんだけどなぁ……。
ホント、どこから情報仕入れて来てるんだろう。
何にせよ、知っているならもっと詳しく話さない訳にはいかないよね。
わたしは仕方なく叔父の再婚で出来たいとこだと話した。
流石に今一緒の家で暮らしてるって事は言わないけれど。
「ああ、そう言う事ね」
加野さんはそう言って納得してくれたから良かった。
もしそれだけじゃないよね、とか言って追求されたら誤魔化せる自信はない。
加野さんは疑問があったら何でも聞いてくる人だから。
「でもそれでクール王子のファンクラブとかに目をつけられるのも嫌な話だよね……」
「ホントそうだよ」
ケガの事がなくても嫌なことは言われたし、いい迷惑ってやつだ。
皓也とわたしは付き合ってるどころか仲が良いかどうかすら怪しいってのに……。
その後は加野さんも特に話さなかったから、ちゃんと納得したんだと思っていた。
まさかあんな事を考えていたなんて、思いもしなかったんだ。
「良かった、見た目ほど大したケガじゃないよ。血も止まってるみたいだし」
その言葉でホントにちょっと切っただけなんだと分かってホッとした。
まだ痛いけど、大事にはならなくて良かった。
「加野さん、悪いけど萩原さんを保健室に連れて行ってくれないかな」
「悪いなんてそんな! 当然行きますよ!」
憧れの先生に頼まれたからか、加野さんは大袈裟なほど意気込んで答える。
「ほら、そうちゃん行こう!」
意気込みつつ、わたしを気遣ってかケガをしていない方の腕を掴んで優しく引っ張った。
「うん、ありがとう。あ、安藤先生もありがとうございます」
加野さんに引かれて歩きながら、忘れずに安藤先生にも慌ててお礼を言う。
安藤先生は「大したことはしてないよ」と笑顔で送り出してくれる。そして皓也に向き直った。
「皓也くんも、もう帰りなさい。今日は部活ないんだろう?」
安藤先生のその言葉に、無言で頷く皓也の姿だけが見えた。
校舎内に戻って保健室に行く途中、特に何も話さずわたしの腕を引っ張っていた加野さんが「そういえば」と話し出した。
「そうちゃんと皓也くんって、どんな関係なの?」
やっぱり気になってしまうか。
話を聞いてすぐにわたしのところに来てくれた皓也を見たら、無関係とも思えないだろうし。
昨日手を引かれて一緒に帰って行った事とかも、ファンクラブの子達が知ってたくらいだから情報通の加野さんが知らないわけ無いだろうし。
「えっと、いとこなの」
とりあえずその事実を伝えてみる。
「え!? そうちゃんいとこいなかったんじゃないの!?」
すると凄くビックリされた。
小学校の頃からの同級生になら話した事もあるから知ってる人は知っている。
確かに加野さんも小学校の頃からの同級生だけど、彼女の前で話した覚えは無いんだけどなぁ……。
ホント、どこから情報仕入れて来てるんだろう。
何にせよ、知っているならもっと詳しく話さない訳にはいかないよね。
わたしは仕方なく叔父の再婚で出来たいとこだと話した。
流石に今一緒の家で暮らしてるって事は言わないけれど。
「ああ、そう言う事ね」
加野さんはそう言って納得してくれたから良かった。
もしそれだけじゃないよね、とか言って追求されたら誤魔化せる自信はない。
加野さんは疑問があったら何でも聞いてくる人だから。
「でもそれでクール王子のファンクラブとかに目をつけられるのも嫌な話だよね……」
「ホントそうだよ」
ケガの事がなくても嫌なことは言われたし、いい迷惑ってやつだ。
皓也とわたしは付き合ってるどころか仲が良いかどうかすら怪しいってのに……。
その後は加野さんも特に話さなかったから、ちゃんと納得したんだと思っていた。
まさかあんな事を考えていたなんて、思いもしなかったんだ。