クール王子はワケアリいとこ
わたしのいとこ
始まりは去年の二月。
お母さんの喜びを含んだ一言だった。
「ねえ、祐樹叔父さん再婚するんだって」
雑誌を見ながら聞いていたわたしはなんの気もなく「ふーん」とだけ返す。
弟の松葉はちょっと気が引かれたのか、「相手どんな人?」と聞いていた。
「それがね、金髪碧眼の美人らしいのよ」
「マジで? すげー!」
金髪碧眼ってことは外国人?
「そんな人とどこで出会ったのよ」
相手が外国人だってことで、流石にわたしも興味が出てきた。
ハーフって子も今時珍しくないし、外国人と結婚したって話だけなら色んな所から聞くけれど、身内がそうなるとは考えて無かった。
だから馴れ初めとかちょっと興味がある。
「仕事で知り合ったらしいんだけど、恥ずかしがってるのか詳しくは教えてくれなかったのよね」
水くさいとでも言いたそうな不満顔でそう言ったお母さん。
そっかー残念。
今度直接聞いてやろう。
と、わたしと松葉は話してその話題は終わりかと思った。
でもお母さんの話はまだ続く。
「でもね、その美人の奥さん男の子の連れ子がいるんだって。そうびのひとつ下らしいわ」
「へ?」
祐樹叔父さんは再婚と言っても前の奥さんとの間に子どもは居なかった。
だから次の相手も同じように再婚だとしても子どもが居ないか、初婚の人と結婚するんだと思っていた。
よく考えればそんな確証は無かったんだけれど、祐樹叔父さんは見た目も若いから何となくそうだと思い込んでいた。
だから軽く衝撃を受けていたんだけれど、お母さんは気楽に「いとこが出来るわねー」なんて嬉しそうにわたし達に言っている。
松葉も同性のいとこが出来るのが嬉しいのか、「一緒に遊べるといいけどな」とか言っていた。
しかもわたしの衝撃が治まらないうちに、お母さんはもっと衝撃的な事を口にする。
「それでね、叔父さん達の仕事や新婚旅行や引っ越しの都合で、その子を三ヶ月ほどうちで預かる事になりそうなんだけど」
『え!?』
わたしと松葉の声が重なった。
でも込められた感情は全くの正反対。
松葉は嬉しそうに、どんないとこか。ゲームは好きかとお母さんに質問している。
わたしは逆に嫌だという感情をこれでもかと言うほど顔に表していた。
年下とは言えひとつしか違わない。
親戚になるとはいえ、今まで他人だった同年代の男子とひとつ屋根の下なんて普通に嫌だ。
「そうびは嫌?」
わたしの表情を見て少し困った様に聞いてくるお母さん。
「当たり前でしょ!」
「でもお父さんが良いって言ったら良いよ、って祐樹叔父さんにもう返事しちゃったのよね」
その言葉で、決定はお父さんに委ねられた。
かくして、仕事から帰って来たお父さんが、わたしの意見を聞く前に「良いんじゃ無いか?」なんて言ったために、そのいとこ・皓也が三ヶ月間うちで過ごす事になってしまったのだ。
お母さんの喜びを含んだ一言だった。
「ねえ、祐樹叔父さん再婚するんだって」
雑誌を見ながら聞いていたわたしはなんの気もなく「ふーん」とだけ返す。
弟の松葉はちょっと気が引かれたのか、「相手どんな人?」と聞いていた。
「それがね、金髪碧眼の美人らしいのよ」
「マジで? すげー!」
金髪碧眼ってことは外国人?
「そんな人とどこで出会ったのよ」
相手が外国人だってことで、流石にわたしも興味が出てきた。
ハーフって子も今時珍しくないし、外国人と結婚したって話だけなら色んな所から聞くけれど、身内がそうなるとは考えて無かった。
だから馴れ初めとかちょっと興味がある。
「仕事で知り合ったらしいんだけど、恥ずかしがってるのか詳しくは教えてくれなかったのよね」
水くさいとでも言いたそうな不満顔でそう言ったお母さん。
そっかー残念。
今度直接聞いてやろう。
と、わたしと松葉は話してその話題は終わりかと思った。
でもお母さんの話はまだ続く。
「でもね、その美人の奥さん男の子の連れ子がいるんだって。そうびのひとつ下らしいわ」
「へ?」
祐樹叔父さんは再婚と言っても前の奥さんとの間に子どもは居なかった。
だから次の相手も同じように再婚だとしても子どもが居ないか、初婚の人と結婚するんだと思っていた。
よく考えればそんな確証は無かったんだけれど、祐樹叔父さんは見た目も若いから何となくそうだと思い込んでいた。
だから軽く衝撃を受けていたんだけれど、お母さんは気楽に「いとこが出来るわねー」なんて嬉しそうにわたし達に言っている。
松葉も同性のいとこが出来るのが嬉しいのか、「一緒に遊べるといいけどな」とか言っていた。
しかもわたしの衝撃が治まらないうちに、お母さんはもっと衝撃的な事を口にする。
「それでね、叔父さん達の仕事や新婚旅行や引っ越しの都合で、その子を三ヶ月ほどうちで預かる事になりそうなんだけど」
『え!?』
わたしと松葉の声が重なった。
でも込められた感情は全くの正反対。
松葉は嬉しそうに、どんないとこか。ゲームは好きかとお母さんに質問している。
わたしは逆に嫌だという感情をこれでもかと言うほど顔に表していた。
年下とは言えひとつしか違わない。
親戚になるとはいえ、今まで他人だった同年代の男子とひとつ屋根の下なんて普通に嫌だ。
「そうびは嫌?」
わたしの表情を見て少し困った様に聞いてくるお母さん。
「当たり前でしょ!」
「でもお父さんが良いって言ったら良いよ、って祐樹叔父さんにもう返事しちゃったのよね」
その言葉で、決定はお父さんに委ねられた。
かくして、仕事から帰って来たお父さんが、わたしの意見を聞く前に「良いんじゃ無いか?」なんて言ったために、そのいとこ・皓也が三ヶ月間うちで過ごす事になってしまったのだ。