クール王子はワケアリいとこ
ハンター
「……どうしてこうなった!!?」
翌日の放課後、わたしは文字通り頭を抱えて呻いた。
ホント、どうしてこんなことに?
わたし、どこで間違ったの!?
「そうだねぇ。あたしもどうしてこうなったのか知りたいわ」
近くの席の椅子を借りて座っている優香が若干面白がっているように言った。
優香は今日は部活がないからゆっくりだ。
羨ましい。いっそわたしも今日は帰ってしまいたい。
でも用事もないのに部活を休むわけにはいかないし、淳先輩に聞きたいこともあるから帰るって選択肢は選べない。
教室の中でも外でも好奇の目にさらされる。
それもこれも全部加野さんのせいだ。
やっぱり昨日もっとちゃんと話しておくべきだった。
後悔先に立たずとはよく言ったもので、今更悔やんでもどうしようもない。
もう噂は全校中に広まっているらしいから……。
わたしと皓也は血のつながっていないいとこで、付き合っていてラブラブらしいって噂が……。
いとこってところは良い。
進んで言いふらしてなかっただけで、事実なんだから。
でも付き合ってて、しかもラブラブとかありえないから!!
思い返せば今日は朝からおかしかった。
思考を整理してみるつもりで、回想する。
朝は、教室に入った途端みんながわたしを見ていた。
「ホントかな?」
「おい、お前聞いて来いよ」
なんてヒソヒソとした声が聞こえてくる。
訝しみながらも鞄の中のものを出していると、教室に加野さんの姿がないことに気付いた。
いつも早くから来て誰かと話しているのに。
いつも騒がしい人が一人いないだけで結構静かに感じる。
まあ、だからヒソヒソ話している声も聞こえるんだけど……。
「え? まじで?」
「そっかー。でも秘密にしたくなる気持ちも分かるけどね」
周りで話している声と共に視線を感じる。
でも誰一人としてわたしに話しかけてこない。
もういっそ誰か話しかけてきて!
針のむしろ状態で辛い。
こういう時に限って優香は遅いし、それこそよく話しかけて来る加野さんも見当たらない。
そんな状態で先生が来る直前に加野さんが来て、優香が「セーフ!」と息を切らせながら教室に入って来た。
加野さんはどこに行ってたか知らないけど、優香はあとで聞いたら自転車が故障して走って来たんだと言っていた。
そうして朝は誰とも話せずに過ぎた。
その後の授業の合間に優香と情報収集してみると、わたしと皓也がいとこであることがバレて、しかも付き合っててラブラブ……なんて噂が広まってることを知った。
気が遠くなる思いだったけど、誰が触れ回っているのか突き止めないと! と気を取り直した。
「え? 加野さんが言ってたんだよ? 色んな人に話して周知させてねって」
「はぁ!?」
訳が分からない。どうしてそうなった。
でもそんな噂を広げている理由なんて本人に聞くしかない。
何とか話を聞こうと思ったけど、加野さんは授業が終わるとすぐに教室を出て行ってしまう。
やっと捕まえることが出来たのは昼休みだった。