クール王子はワケアリいとこ
それからひと月と少し。
うちにお世話になるいとこ、皓也が祐樹叔父さん夫婦とうちに来た。
祐樹叔父さんは見ただけで分かる程幸せそうで、姪としてもこの再婚は嬉しいと素直に思えた。
奥さんはオルガという名前で、聞いていた通りの金髪碧眼美女だ。
生まれはロシアらしいけれど、皓也が生まれる前から仕事で日本に移り住んでいたというから日本語もペラペラだった。
本当に、叔父さんはどうやってこんな美女をゲットしたのか……不思議だ。
そしていとこになる皓也。
奥さんが金髪碧眼の外国人だって言うから予測はしていたけれど、彼も金髪碧眼だった。
でもオルガさんほど明るい金髪ではないし、目の色も青より暗めで、紺碧色って感じだ。
しかも顔立ちもそこまで“外国人”って感じじゃなくて、日本人でもいそうな顔だった。
外国人というより、ハーフって言われた方が納得できるような顔だ。
それでも、綺麗な顔立ちをしていることには変わりない。
こんなイケメンだと思わなかったわたしは、無意識に緊張してしまった。
「はじめまして、皓也です。今日から三ヶ月お世話になります」
礼儀正しく挨拶した皓也に、お母さんとお父さんは好感を持った様だ。
「親戚になったんだから、遠慮しないで。寛いでくれると嬉しいな」
「紹介するわね。こっちが長女のそうび、貴方より一つ上よ。こっちは長男の松葉で小学四年生よ」
「これからよろしくね」
紹介されたので、緊張しながらも出来るだけ笑顔で挨拶する。
反対していたとはいえ、これから三ヶ月同じ家で暮らすんだ。険悪な雰囲気にはなりたく無い。
でも、わたしを見た皓也は軽く驚いた様に言葉を詰まらせて、サッと視線を外した。
え? なに?
「よろしく! なあ、皓也兄ちゃんって呼んでいいか? 一緒に遊ぼうぜ!」
わたしの疑問なんて気付きもしない松葉が早速皓也にジャレつく。
皓也も松葉の気安さに若干戸惑った様だったけれど、すぐに笑顔で「良いよ、遊ぼうな」と答えていた。
「……」
笑ってる、よね?
目を逸らされたのは気のせい?
もしくはわたし、緊張しすぎて笑顔が引きつってた?
……そうかもしれない。
うん、多分そうだよね。
そう思い込んでわたしは気を取り直した。
するとオルガさんがわたしに質問してくる。
「そうびさんの名前は、薔薇の別名かしら?」
「あ、はい。そうらしいです」
少し驚いた。
わたしの名前を聞いて薔薇を連想してくれる人は少ないから。
大人の人ならそこそこ気づいてくれるけれど、同年代だとほとんどが「そうびって装備品のこと?」なんてゲームとかから得た知識で言ってくる。
まあ、薔薇という意味と気づかれてもそれはそれで恥ずかしいんだけど……。
でもそんな名前なのに、外国人のオルガさんが気づいてくれるとは思わなかった。
わたしの名前をつけたお母さんも驚きつつ嬉しかったみたいだ。
「そうなの。漢字では名前に使えなかったからひらがなにしたんだけど、なかなか薔薇って気付いてくれる人は少なくて……。気付いてくれて嬉しいわ、ありがとう」
とお礼を言っている。
うちにお世話になるいとこ、皓也が祐樹叔父さん夫婦とうちに来た。
祐樹叔父さんは見ただけで分かる程幸せそうで、姪としてもこの再婚は嬉しいと素直に思えた。
奥さんはオルガという名前で、聞いていた通りの金髪碧眼美女だ。
生まれはロシアらしいけれど、皓也が生まれる前から仕事で日本に移り住んでいたというから日本語もペラペラだった。
本当に、叔父さんはどうやってこんな美女をゲットしたのか……不思議だ。
そしていとこになる皓也。
奥さんが金髪碧眼の外国人だって言うから予測はしていたけれど、彼も金髪碧眼だった。
でもオルガさんほど明るい金髪ではないし、目の色も青より暗めで、紺碧色って感じだ。
しかも顔立ちもそこまで“外国人”って感じじゃなくて、日本人でもいそうな顔だった。
外国人というより、ハーフって言われた方が納得できるような顔だ。
それでも、綺麗な顔立ちをしていることには変わりない。
こんなイケメンだと思わなかったわたしは、無意識に緊張してしまった。
「はじめまして、皓也です。今日から三ヶ月お世話になります」
礼儀正しく挨拶した皓也に、お母さんとお父さんは好感を持った様だ。
「親戚になったんだから、遠慮しないで。寛いでくれると嬉しいな」
「紹介するわね。こっちが長女のそうび、貴方より一つ上よ。こっちは長男の松葉で小学四年生よ」
「これからよろしくね」
紹介されたので、緊張しながらも出来るだけ笑顔で挨拶する。
反対していたとはいえ、これから三ヶ月同じ家で暮らすんだ。険悪な雰囲気にはなりたく無い。
でも、わたしを見た皓也は軽く驚いた様に言葉を詰まらせて、サッと視線を外した。
え? なに?
「よろしく! なあ、皓也兄ちゃんって呼んでいいか? 一緒に遊ぼうぜ!」
わたしの疑問なんて気付きもしない松葉が早速皓也にジャレつく。
皓也も松葉の気安さに若干戸惑った様だったけれど、すぐに笑顔で「良いよ、遊ぼうな」と答えていた。
「……」
笑ってる、よね?
目を逸らされたのは気のせい?
もしくはわたし、緊張しすぎて笑顔が引きつってた?
……そうかもしれない。
うん、多分そうだよね。
そう思い込んでわたしは気を取り直した。
するとオルガさんがわたしに質問してくる。
「そうびさんの名前は、薔薇の別名かしら?」
「あ、はい。そうらしいです」
少し驚いた。
わたしの名前を聞いて薔薇を連想してくれる人は少ないから。
大人の人ならそこそこ気づいてくれるけれど、同年代だとほとんどが「そうびって装備品のこと?」なんてゲームとかから得た知識で言ってくる。
まあ、薔薇という意味と気づかれてもそれはそれで恥ずかしいんだけど……。
でもそんな名前なのに、外国人のオルガさんが気づいてくれるとは思わなかった。
わたしの名前をつけたお母さんも驚きつつ嬉しかったみたいだ。
「そうなの。漢字では名前に使えなかったからひらがなにしたんだけど、なかなか薔薇って気付いてくれる人は少なくて……。気付いてくれて嬉しいわ、ありがとう」
とお礼を言っている。