クール王子はワケアリいとこ
「すぐに合流する。早く行け、人が来るぞ」
その言葉にサッと顔色を変えた淳先輩は、まだ怖々としていたけど皓也に目を向けて「行くぞ」と声を掛けた。
皓也はためらいがちにわたしを見たけれど、安藤先生に「行くんだ」と急かされて淳先輩について行く。
「じゃあ、僕も急ぐから。萩原さんも早く帰るんだよ?」
そう言った安藤先生は、皓也達が向かったのとは別の方向へと歩いて行った。
ポツンと一人取り残されてしまったと思ったら、近づいてくる足音が聞こえてくる。
「おーい皓也ー? こっちにいるのかー?」
そう言いながら、安藤先生がいなくなった方向から現れたのは忍野くんだった。
もしかして安藤先生たちが急いだのって、忍野くんが来るって気付いたからかな?
気配を察知した、とか。
「あれ? そうび先輩だけ? 皓也は? こっちに来たの見たって聞いたんだけど……」
「えっと……」
どう答えようか少し迷う。
本当の事は言えないし……。
「……先に帰っちゃった」
とりあえずそう言ってみた。
「ええ!? マジで!? 先輩達めっちゃ怒ってたのに。謝ってから帰れよー」
そう言って頭をガシガシ掻く忍野くんを見て、そう言えば皓也、剣道の道具類放り投げてたな、と思い出した。
うん、それは先輩達も怒るよ。
体調悪くなったとか言えば良かったかな?
いや、でもあまり嘘をつくとボロが出そうだしやめておこう。
心の中で皓也にいい誤魔化し方出来なくてごめん! と謝っておく。
「はぁ、帰ったんじゃ仕方ねぇか。ん? でも上履きのまま帰ったんですか?」
はうっ!
早速ボロが出ちゃった!?
いやいや、まだ大丈夫……多分。
「あ、そうだね。なんだか慌ててたみたいだったから」
上手く出来たかは分からないけど、平静を装ってそう言った。
「あー確かになんか様子がおかしかったもんなー皓也。仕方ねぇ、上手く誤魔化しておくか」
何とか納得してもらえたみたいだ。
でもこんなことになるんなら安藤先生、説明してから行って欲しかったよ……。
あれ? でも確か……。
「安藤先生に話聞いて無いの? ついさっきそっちの方に歩いて行ったんだけど」
「へ? 安藤先生? 見てないですよ?」
「……そっか」
見てすらいないって、何?
安藤先生、忍者みたいに消えたとか?
いや、多分忍野くんに会う前にルート変更したんだよね。きっと。
そうやって勝手に納得していると、忍野くんが声を掛けて来た。
「じゃあ行きましょうか? 昇降口まで一緒に行きますよ?」
「え?」
「だって、靴履き替えますよね?」
「あ、うん」
言われて思い出した。
わたしも上履きのままだったって事に。
その言葉にサッと顔色を変えた淳先輩は、まだ怖々としていたけど皓也に目を向けて「行くぞ」と声を掛けた。
皓也はためらいがちにわたしを見たけれど、安藤先生に「行くんだ」と急かされて淳先輩について行く。
「じゃあ、僕も急ぐから。萩原さんも早く帰るんだよ?」
そう言った安藤先生は、皓也達が向かったのとは別の方向へと歩いて行った。
ポツンと一人取り残されてしまったと思ったら、近づいてくる足音が聞こえてくる。
「おーい皓也ー? こっちにいるのかー?」
そう言いながら、安藤先生がいなくなった方向から現れたのは忍野くんだった。
もしかして安藤先生たちが急いだのって、忍野くんが来るって気付いたからかな?
気配を察知した、とか。
「あれ? そうび先輩だけ? 皓也は? こっちに来たの見たって聞いたんだけど……」
「えっと……」
どう答えようか少し迷う。
本当の事は言えないし……。
「……先に帰っちゃった」
とりあえずそう言ってみた。
「ええ!? マジで!? 先輩達めっちゃ怒ってたのに。謝ってから帰れよー」
そう言って頭をガシガシ掻く忍野くんを見て、そう言えば皓也、剣道の道具類放り投げてたな、と思い出した。
うん、それは先輩達も怒るよ。
体調悪くなったとか言えば良かったかな?
いや、でもあまり嘘をつくとボロが出そうだしやめておこう。
心の中で皓也にいい誤魔化し方出来なくてごめん! と謝っておく。
「はぁ、帰ったんじゃ仕方ねぇか。ん? でも上履きのまま帰ったんですか?」
はうっ!
早速ボロが出ちゃった!?
いやいや、まだ大丈夫……多分。
「あ、そうだね。なんだか慌ててたみたいだったから」
上手く出来たかは分からないけど、平静を装ってそう言った。
「あー確かになんか様子がおかしかったもんなー皓也。仕方ねぇ、上手く誤魔化しておくか」
何とか納得してもらえたみたいだ。
でもこんなことになるんなら安藤先生、説明してから行って欲しかったよ……。
あれ? でも確か……。
「安藤先生に話聞いて無いの? ついさっきそっちの方に歩いて行ったんだけど」
「へ? 安藤先生? 見てないですよ?」
「……そっか」
見てすらいないって、何?
安藤先生、忍者みたいに消えたとか?
いや、多分忍野くんに会う前にルート変更したんだよね。きっと。
そうやって勝手に納得していると、忍野くんが声を掛けて来た。
「じゃあ行きましょうか? 昇降口まで一緒に行きますよ?」
「え?」
「だって、靴履き替えますよね?」
「あ、うん」
言われて思い出した。
わたしも上履きのままだったって事に。