クール王子はワケアリいとこ
とりあえず、今日は何とか淳先輩か安藤先生を捕まえて皓也の様子やオルガさんの状態の事を聞こう!
そう意気込んで学校に来た。
今日は部活が無いから淳先輩は無理そうだ。
だから安藤先生に狙いを定める。
でも授業中に聞くわけにはいかないし、他の生徒に聞かれるのも困る。
なので一人のときを狙おうとしたけれど、安藤先生は人気者なので一人ってときが無かった。
放課後もお母さんに叱られないギリギリの時間まで粘ってみたけど、安藤先生が一人になる事は無かった。
これなら放課後に淳先輩を探した方が何か聞けたかも知れない、と後悔しつつ諦めて帰ろうと昇降口に向かう。
しょんぼりと下を見て歩いていたら、真ん前に男子の制服の裾と上履きが見えた。
うちの学校の指定の上履きは、靴のラインの色で何年生か分かる様になってる。
見えた赤いラインは一年生だ。
それを認識したとたん、わたしは期待を込めて顔を上げる。
「っ、あ。……忍野くん」
そしてあからさまにガッカリしてしまった。
そうしてから、わたしは相手を皓也じゃないかと期待してたってことを自覚する。
「あーえっと。皓也じゃなくてすんません」
あからさまにガッカリしたところを見せてしまったせいか、何やら察されてしまった。
わたしは否定も肯定も出来ずに恥ずかしい気持ちを抑えて「……ごめんね」と小さく言う。
そのままどうするべきかと思っていたら、忍野くんの方から話を振ってくれた。
「あ、それでその……皓也のことなんですけど。あいつが休んでる詳しい事情って知ってますか?」
聞かれて、まず思ったのは本当のことは言えないってことだ。
言っても信じるわけがないし、黙っていて欲しいと頼まれた。
となると話せるのはオルガさんのケガのことしかない。
わたしは「大体の事情しか分からないけれど」と前置きしてから話し出す。
「皓也のお母さんが事故ってケガをしちゃったみたいなの。それで皓也はそっちにいるらしくて……」
「お母さんが……。学校休むくらいだから、かなり酷いケガってことですよね? 大丈夫なんですか?」
「意識はあるし、命に別状はないって聞いたけど……」
それ以上は分からないと言葉を濁した。
もしかしたら嘘を教えているのかもしれないという罪悪感も少しある。
「心配ですね」なんて気を使われると尚更。
だから用件がそれだけなら早く帰ろうと思って断りを入れようとしたところ、「あ、それと……」と先に忍野くんが続けてしまった。
「何か、あいつらが話があるみたいで……」
そう言って指した方には、下駄箱に身を隠しつつこっちを伺っている女生徒数人が見えた。
そう意気込んで学校に来た。
今日は部活が無いから淳先輩は無理そうだ。
だから安藤先生に狙いを定める。
でも授業中に聞くわけにはいかないし、他の生徒に聞かれるのも困る。
なので一人のときを狙おうとしたけれど、安藤先生は人気者なので一人ってときが無かった。
放課後もお母さんに叱られないギリギリの時間まで粘ってみたけど、安藤先生が一人になる事は無かった。
これなら放課後に淳先輩を探した方が何か聞けたかも知れない、と後悔しつつ諦めて帰ろうと昇降口に向かう。
しょんぼりと下を見て歩いていたら、真ん前に男子の制服の裾と上履きが見えた。
うちの学校の指定の上履きは、靴のラインの色で何年生か分かる様になってる。
見えた赤いラインは一年生だ。
それを認識したとたん、わたしは期待を込めて顔を上げる。
「っ、あ。……忍野くん」
そしてあからさまにガッカリしてしまった。
そうしてから、わたしは相手を皓也じゃないかと期待してたってことを自覚する。
「あーえっと。皓也じゃなくてすんません」
あからさまにガッカリしたところを見せてしまったせいか、何やら察されてしまった。
わたしは否定も肯定も出来ずに恥ずかしい気持ちを抑えて「……ごめんね」と小さく言う。
そのままどうするべきかと思っていたら、忍野くんの方から話を振ってくれた。
「あ、それでその……皓也のことなんですけど。あいつが休んでる詳しい事情って知ってますか?」
聞かれて、まず思ったのは本当のことは言えないってことだ。
言っても信じるわけがないし、黙っていて欲しいと頼まれた。
となると話せるのはオルガさんのケガのことしかない。
わたしは「大体の事情しか分からないけれど」と前置きしてから話し出す。
「皓也のお母さんが事故ってケガをしちゃったみたいなの。それで皓也はそっちにいるらしくて……」
「お母さんが……。学校休むくらいだから、かなり酷いケガってことですよね? 大丈夫なんですか?」
「意識はあるし、命に別状はないって聞いたけど……」
それ以上は分からないと言葉を濁した。
もしかしたら嘘を教えているのかもしれないという罪悪感も少しある。
「心配ですね」なんて気を使われると尚更。
だから用件がそれだけなら早く帰ろうと思って断りを入れようとしたところ、「あ、それと……」と先に忍野くんが続けてしまった。
「何か、あいつらが話があるみたいで……」
そう言って指した方には、下駄箱に身を隠しつつこっちを伺っている女生徒数人が見えた。