クール王子はワケアリいとこ
そうして場の雰囲気が少し和やかになったところで、リーダーの子が決意表明をしたいと言い出す。
「今までは皓也くんがカッコイイからって好きな子が集まってただけのファンクラブだったけど、これからはちゃんと方針を決めようと思うんです!」
「ほ、方針?」
おずおずとした雰囲気を無くし、生き生きとなったリーダーの子にちょっと引きつつ先を促した。
「はい! ラブラブな二人を邪魔したら皓也くんに恨まれちゃうので、皓也くんカップルを見守りたい(隊)という方針にしようかと!」
「!!?」
驚いたわたしは言葉が出なかった。
そんなわたしに、彼女たちは「本当にすみませんでした。では!」と言い残して颯爽と去って行く。
忍野くんも見届け終わったので、「じゃあ俺もこれで」と去って行く。
わたしはしばらくそのまま固まって動けなかった。
そうだ。
そうだったよ。
加野さんの噂のせいで、わたしと皓也はラブラブのカップルってことになっているんだった。
昨日は色々あってそんなこと頭から抜け落ちてたし、今日は安藤先生を探してばかりですっかり忘れていた。
忘れていたけれど、悩みごとがまだあったことに気付かされた。
しかも……。
「皓也カップルを見守り隊って、何よぉ……」
何か、いっぱいいっぱいだった。