クール王子はワケアリいとこ
「帰りは皓也と一緒に帰ろうって約束してるんです。待たせるのも嫌だから」
そう言うと苦笑された。
「剣道部の皓也くんの方が片付けに時間がかかると思うけどね」
まあ、それはそうなんだけどね。
「ま、いいことだと思うよ。なんたって学校公認のラブラブカップルだからね」
「なっ!?」
誰に言われても恥ずかしいことは変わりないけど、大人の先生に言われると更に恥ずかしかった。
「先生がそういう事言わないでくださいぃ! さようならっ!」
そうしてわたしは逃げるようにその場を後にした。
昇降口について皓也がいないか見まわす。
まあ、流石に早すぎるしいないよね。
先に靴を履き替えて入り口の所で待っていると、思ったより早く皓也が来てくれた。
「ごめん、待たせたか?」
靴を履き替えて近くに来た皓也が言う。
「ううん、さっき来たとこだよ。もう少しかかると思ったのに、早いね?」
疑問を口にすると、皓也が少し仏頂面になった。
「……逃げてきた」
そう呟いた皓也の話だと、先週片付けしないで帰ったのはオルガさんのケガのためだって忍野くんが説明してくれていたらしい。
だからそのことでは怒られなかったけれど、剣道道具を投げ捨てたことは怒られたんだとか。
惨状を先輩達に見られていた様で、そこは忍野くんもフォローしようがなかったんだそうだ。
そうやって部活中先輩達にしごかれつつ怒られていたんだけど、流石に言い過ぎじゃないかって止めてくれる先輩もいたとか。
ただその先輩も、他の先輩の「どうせ部活終わったら恋人に慰めてもらえるんだから」という言葉に「そうだな」と怒る方に回ってしまったそうだ。
「……それはまた……」
何と言っていいのか。
取りあえずお疲れ様と言っておこうか。
そう思って口にしようとすると、その前に皓也がイタズラを仕掛けるような表情で言った。
「だからさ、そうび。慰めて?」
「っ!?」
そんなおねだりをされると思っていなくて、一気に顔に熱が集まった。
皓也が人間に戻ってキスをしたあの日から、今まで避けていた分を取り戻すかのようにわたしに絡んでくるようになった。
嬉しいんだけれど、照れるし、心臓が持たなくて困る。
「……慰めてって、どうすればいいの?」
それでもわたしも皓也のおねだりに応えたくてそう聞いてしまう。
皓也はためらいもなく慰める方法を教えてくれた。
「キスして」
「っっっ!? こっここで?」
いくらまだ人が少ないとはいえ、人目が無いわけじゃない。
ためらっていると「慰めてくれねぇの?」と首を傾げつつ見下ろされた。
いつの間にか距離も詰められていて、壁に追い詰められている。
これはキスしないと解放してくれない展開だ。
わたしは迷ったけど思い切って少し背伸びをして皓也にキスをした。
頬にだけど。
そう言うと苦笑された。
「剣道部の皓也くんの方が片付けに時間がかかると思うけどね」
まあ、それはそうなんだけどね。
「ま、いいことだと思うよ。なんたって学校公認のラブラブカップルだからね」
「なっ!?」
誰に言われても恥ずかしいことは変わりないけど、大人の先生に言われると更に恥ずかしかった。
「先生がそういう事言わないでくださいぃ! さようならっ!」
そうしてわたしは逃げるようにその場を後にした。
昇降口について皓也がいないか見まわす。
まあ、流石に早すぎるしいないよね。
先に靴を履き替えて入り口の所で待っていると、思ったより早く皓也が来てくれた。
「ごめん、待たせたか?」
靴を履き替えて近くに来た皓也が言う。
「ううん、さっき来たとこだよ。もう少しかかると思ったのに、早いね?」
疑問を口にすると、皓也が少し仏頂面になった。
「……逃げてきた」
そう呟いた皓也の話だと、先週片付けしないで帰ったのはオルガさんのケガのためだって忍野くんが説明してくれていたらしい。
だからそのことでは怒られなかったけれど、剣道道具を投げ捨てたことは怒られたんだとか。
惨状を先輩達に見られていた様で、そこは忍野くんもフォローしようがなかったんだそうだ。
そうやって部活中先輩達にしごかれつつ怒られていたんだけど、流石に言い過ぎじゃないかって止めてくれる先輩もいたとか。
ただその先輩も、他の先輩の「どうせ部活終わったら恋人に慰めてもらえるんだから」という言葉に「そうだな」と怒る方に回ってしまったそうだ。
「……それはまた……」
何と言っていいのか。
取りあえずお疲れ様と言っておこうか。
そう思って口にしようとすると、その前に皓也がイタズラを仕掛けるような表情で言った。
「だからさ、そうび。慰めて?」
「っ!?」
そんなおねだりをされると思っていなくて、一気に顔に熱が集まった。
皓也が人間に戻ってキスをしたあの日から、今まで避けていた分を取り戻すかのようにわたしに絡んでくるようになった。
嬉しいんだけれど、照れるし、心臓が持たなくて困る。
「……慰めてって、どうすればいいの?」
それでもわたしも皓也のおねだりに応えたくてそう聞いてしまう。
皓也はためらいもなく慰める方法を教えてくれた。
「キスして」
「っっっ!? こっここで?」
いくらまだ人が少ないとはいえ、人目が無いわけじゃない。
ためらっていると「慰めてくれねぇの?」と首を傾げつつ見下ろされた。
いつの間にか距離も詰められていて、壁に追い詰められている。
これはキスしないと解放してくれない展開だ。
わたしは迷ったけど思い切って少し背伸びをして皓也にキスをした。
頬にだけど。