クール王子はワケアリいとこ
先輩達に囲まれていた彼は、正に人気者という感じだった。
先輩達の話に、嫌な顔一つせず笑顔で受け答えしている。
短く切り揃えられた髪は少しはねていて、元気そうな雰囲気。
窓からの光で黒髪が少し赤茶に見える。
何かスポーツをやっていそうなイケメンで、クール王子と呼ばれている皓也とはまさに正反対なタイプだ。
そんな運動部にいそうな彼が、何でこの家庭科部に見学に来ているんだろう。
家庭科室の入口に立ち尽くしながら、わたしはそう思った。
家庭科室が近づいた時点で何やら騒がしいのには気付いた。
転校とか王子とかいう単語が聞こえてきたから、さっき加野さんに聞いた三年の転校生の話をしているんだと思った。
でもまさか本人がいるとは思わないじゃない?
自分とは関係ないと思っていた人物が、いきなり目の前に現れるとか。
なかなか体験出来ないと思うんだよね。
そんな風に誰にするでもない言い訳を頭の中で考えていたら、当の王子様候補の転校生がわたしに気付いた。
「ん? あれ? あのかわいい子は?」
その言葉で、室内にいたほとんどの人がわたしを見る。
一斉に視線を向けられて、思わずビクリと体を震わせてしまった。
「ああ、萩原じゃない。何そんなところで突っ立ってるの?」
そう言って部長でもある植原 都先輩が手招きしてくれる。
おかげで居心地が悪いながらも室内に入ることが出来た。
そうして紹介される。
「萩原、この人は今日三年に転入してきた上原 淳くん。で、淳君。この子は二年の萩原 そうび。家庭科部のアイドルよ」
っちょっ!
「都先輩! その説明やめてくださいって言ってるじゃないですか」
少し前、新入部生の前でも家庭科部のアイドルだとかって説明をされた。
その時もやめて欲しいと言ったのに!
「ごめんごめん。でも、事実でしょ?」
都先輩は謝りながらも顔は笑っている。
しかも開き直っている。
「間違ってるとは言いませんけど、でもアイドルじゃないです!」
そこだけはしっかり主張する。
「じゃあマスコット?」
「……それも間違ってないけど……でも、それもちょっと……」
何だか小動物扱いされてるみたいで……。
「じゃあやっぱりアイドルね」
と、都先輩はイイ笑顔で親指をグッと上にあげた。
「うぐぐぐぐ……」
いつもの事だけど、都先輩には勝てない。
悔しくて呻くしかないわたしに、元気な笑い声が掛けられた。
「っぷ、ははは! お前ら面白いな」
声の主は一番近くでわたし達を見ていた転校生、上原先輩だ。
先輩達の話に、嫌な顔一つせず笑顔で受け答えしている。
短く切り揃えられた髪は少しはねていて、元気そうな雰囲気。
窓からの光で黒髪が少し赤茶に見える。
何かスポーツをやっていそうなイケメンで、クール王子と呼ばれている皓也とはまさに正反対なタイプだ。
そんな運動部にいそうな彼が、何でこの家庭科部に見学に来ているんだろう。
家庭科室の入口に立ち尽くしながら、わたしはそう思った。
家庭科室が近づいた時点で何やら騒がしいのには気付いた。
転校とか王子とかいう単語が聞こえてきたから、さっき加野さんに聞いた三年の転校生の話をしているんだと思った。
でもまさか本人がいるとは思わないじゃない?
自分とは関係ないと思っていた人物が、いきなり目の前に現れるとか。
なかなか体験出来ないと思うんだよね。
そんな風に誰にするでもない言い訳を頭の中で考えていたら、当の王子様候補の転校生がわたしに気付いた。
「ん? あれ? あのかわいい子は?」
その言葉で、室内にいたほとんどの人がわたしを見る。
一斉に視線を向けられて、思わずビクリと体を震わせてしまった。
「ああ、萩原じゃない。何そんなところで突っ立ってるの?」
そう言って部長でもある植原 都先輩が手招きしてくれる。
おかげで居心地が悪いながらも室内に入ることが出来た。
そうして紹介される。
「萩原、この人は今日三年に転入してきた上原 淳くん。で、淳君。この子は二年の萩原 そうび。家庭科部のアイドルよ」
っちょっ!
「都先輩! その説明やめてくださいって言ってるじゃないですか」
少し前、新入部生の前でも家庭科部のアイドルだとかって説明をされた。
その時もやめて欲しいと言ったのに!
「ごめんごめん。でも、事実でしょ?」
都先輩は謝りながらも顔は笑っている。
しかも開き直っている。
「間違ってるとは言いませんけど、でもアイドルじゃないです!」
そこだけはしっかり主張する。
「じゃあマスコット?」
「……それも間違ってないけど……でも、それもちょっと……」
何だか小動物扱いされてるみたいで……。
「じゃあやっぱりアイドルね」
と、都先輩はイイ笑顔で親指をグッと上にあげた。
「うぐぐぐぐ……」
いつもの事だけど、都先輩には勝てない。
悔しくて呻くしかないわたしに、元気な笑い声が掛けられた。
「っぷ、ははは! お前ら面白いな」
声の主は一番近くでわたし達を見ていた転校生、上原先輩だ。