さようなら、愛しい人
「私、シャンソンのこと好き」

秋になったある日、不意にサラから言われた。俺は驚いてコーヒーを落としそうになる。でも、サラは頬を赤く染めながら笑っていて……。

「俺も、サラが好きだ」

俺はそう言ってサラを抱き締める。悪に染まっている俺がこんな感情を抱いて、人を愛していいのか、迷う。でも同じ気持ちになれたことが嬉しかったんだ。

秋、俺たちは一つになった。

それから俺は、殺し屋であることを隠しながらサラと過ごす時間を大切にしていた。今日も依頼を受け、仮面で顔を隠してリボルバーの引き金を引く。

そんな日々が続くうちに、季節は冬になっていた。

「クリスマス、一緒に過ごそう？」

そうサラから誘われたため、俺はクリスマスプレゼントを買うために通りを歩く。通りは華やかな光で彩られ、幸せそうな家族連れや恋人同士などが歩いていた。

ショーウィンドウを眺めながら歩いていた俺は、宝石屋で足を止める。そこにあったのはダイヤモンドの婚約指輪。その時頭に浮かんだのは、ウエディングドレスを着たサラの姿だった。
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