さようなら、愛しい人
「私、病気が秋に見つかったの。治らない難病で余命宣告も受けてる。でも私の一番大切な人ーーー恋人のシャンソンにはこのことを話せていない。いつも何もないように笑っているけど、もう辛いの!いつシャンソンの前で泣いてしまうかわからない。……だからお願い。私を殺して」
秋は俺とサラが交際を始めた頃だ。嘘だと言いたい。でも、目の前にいるサラは明らかに大病を患っているとわかる細さと覇気のない体だ。俺の前で明るく振る舞うのはどれだけ辛かっただろうか……。でもだからと言って自分の恋人を手にかけるなんてーーー。
迷う中、ふと新聞で見た記事を思い出す。それはこの国で安楽死を認めるかどうかというものだった。大病に侵され苦しむ人間を無理やり生かすなど拷問だと政治家の一人が新聞記者に答えていた。
「生きるのが辛いか?」
俺が問いかけると、サラは迷いもせずに頷く。そして「幸せだからこそ、死にたい」と答えた。
「明後日、街外れの森に来い。そこでお前を殺してやる」
秋は俺とサラが交際を始めた頃だ。嘘だと言いたい。でも、目の前にいるサラは明らかに大病を患っているとわかる細さと覇気のない体だ。俺の前で明るく振る舞うのはどれだけ辛かっただろうか……。でもだからと言って自分の恋人を手にかけるなんてーーー。
迷う中、ふと新聞で見た記事を思い出す。それはこの国で安楽死を認めるかどうかというものだった。大病に侵され苦しむ人間を無理やり生かすなど拷問だと政治家の一人が新聞記者に答えていた。
「生きるのが辛いか?」
俺が問いかけると、サラは迷いもせずに頷く。そして「幸せだからこそ、死にたい」と答えた。
「明後日、街外れの森に来い。そこでお前を殺してやる」