明日が見えたなら 山吹色
雨雲
翌日は彰くんが早く帰宅した。いつものように夕食より先にお風呂へ入ってる。
テーブルの上でまた彰くんのケータイの着信音が鳴る。
視線を向けると、画面には瑛さんからで メッセージが表示されてた。
《愛妻弁当だって? お前らラブラブだな》
体が硬直する。以前は作ったりもしたが、今は猛暑もあるのでお弁当は作っていない。何?愛妻弁当って?ヤダッ!
ここに居られない。浴室の前へ行き彰くんに話し掛けた。
「彰くん?ごめんね ドラッグストアで買い忘れたものがあるから 行ってくるね 私は味見してたらお腹いっぱいになったから彰くん悪いけど一人で食べててね」
「オレも行こうか?」
「ううん 大丈夫。一人で行ってくるよ 。
じゃぁね いってきます」上手く言えたかな?
ケータイとバッグを持ちドラッグストアへ行く。何か口実になるもので、かさばらないものを探す。 いつも常備しているアレルギー性点眼薬を買った。
このままではまだ帰れないので、カラオケへ行った。ここでなら泣けると思った。なんでこうなったのか?私の事が嫌いになった?
遊び?それとも本気で好きな人が出来たの?どちらにしても、もし本当に他の女と肌を遇わせていたらなら、私にはもうムリだ!
その時にはこの子には申し訳ないが 、シングルマザーになろう。世の中には、シングルマザーだってたくさんいる。私だけではない。
彰くんの生活の中で、私はどんな存在なの?私は話をしたいし、彰くんと笑い合いたい。
でも彰くんにとっては居ても居なくても良いのかも知れない。違うな、もしかしたらお荷物なのかもしれない。
ひとしきり泣けばケータイが鳴っている。確認すれば彰くんからで、
《どこまで行ったんだ?迎えに行くから連絡しろ》
時計を確認すれば家を出て1時間半たっていた。
《連絡しなくてごめんなさい 偶然同僚と会ってカラオケに来たの
もうちょっと楽しんで帰るから先に寝ていて下さい 》
《帰るとき連絡くれれば迎えに行くよ》
《遅くなるときはタクシー乗って帰るから大丈夫だよ》
《わかった、気をつけて 帰ってこいよ》
《うん おやすみなさい》
《おやすみ》
優しい彰くんもいて何を信じてよいのかわからなくなる。帰宅が遅い日は本当に残業なのか?飲み会なのか ?わからない。
早く寝て欲しい。毎日寝不足なので12時にはさすがに寝ているだろう。明日は顔を会わせないよう早めに家を出よう。