明日が見えたなら 山吹色
自宅に帰り、彰くんへ連絡をした。
《今 マンションに帰って来ました。お義母さんに泊まらないか?聞かれたけど断りました。折角聞いてくれたのに断ってごめんね 、夕食だけど彰くん食べて来て下さい》
《了解 欲しいものあるか?》
《ヨーグルトとアイスが欲しい》
部屋に入って布団に潜る。
辛くて辛くて…辛い。
「生みたかった 会いたかった
会いたかったよー」
声を出して泣いた。いくら泣いても悲しみは溢れてくる。
どのくらいたったのか?彰くんが帰宅した。
「ただいま」客間を開けて入って来た。
ぬ
「おかえりなさい」
「処置したって、子宮内膜症か?」
「うん」私嘘つきだね。
「先生、なんて?」
「大丈夫だって」
「そうか、ヨーグルトとアイス買ってきた。食べるか」
「あとで頂くね 、ごめんね」
嘘つきでごめんね。彰くんの子、生んであげられなくてごめんね。
「ゆっくり休めよ」
「うん、ありがとう」
部屋を出て行った。声が聞こえる。
‘’お義母さんと電話しているのかな?流産バレるかな?慌てていないから子宮内膜症と考えているのだろうな‘’
しばらくして、また彰くんが来た。
「七海?なんで客間なんだ?寝室へ行かないか?」
「布団の方が腰にいいかな?と思って」
ほんとは彰くんに泣いているのがバレないようにするため、でもそんな事言えない。
「そうか」
「………」
「何か食べるか?ヨーグルトとアイスどっちが良い?」
「アイスがいい」
「今、持ってくるよ」
アイスを持ってくると私を抱き起こして、一口一口食べさせてくれた。もう泣きそうになる。
食べ終わり洗面所へ行くが、彰くんはずっとついて世話をやいてくれた。
布団に入いると彰くんのケータイの着信音がなる。穏やかな時間の終わりの合図だった。
「行って!行って!早く出て行ってー!」
「どうしたんだ!」
「早く行ってよ、ケータイに出ればいいでしょ!」
着信音に敏感に反応してしまった。
今日は冷静でいられなかった。まだ誰かと繋がっているの?
なんでこんな時まで……手加減なしに突き落とされる気がした。
泣いて泣いて、泣いて止まらなかった。