明日が見えたなら  山吹色
くもり雲

水曜日は七海が綾乃ちゃんと会うので、オレは隼と会う約束をした。フットサルでは会うが、最近はプレーが終われば帰宅するので隼とはゆっくり話せてなかったのでいい機会だった。

 和田からパソコンの相談されている事を話すと怪訝な顔をされ「あまり深入りするなよ」と言われた。心配ないのにな。



 仕事中に七海から連絡があった。珍しいな。なんだ?

《お疲れ様 今日は早く帰って来れる?》

急いで確認するが大した事ではないのでホッとする。只タイミングが悪く、さっき同期の野田と約束したばかりだ。

《 ごめん 遅くなる 今日飲み会が入った 夕飯要らないから よろしく! 》

《 了解! 楽しんで来てね 》

オレは疑問も持たずに仕事を再開した。

仕事が終わり野田へ連絡すると、野田も終わったらしいのでエントランスで待ち合わせた。エントランスへ行くと瑛もいた。

近くの居酒屋へ行き、都合のついた3人で飲む。お盆休みの話しになり、野田は幼なじみの奥さんと子供達で長野へ家族旅行に行ったそうだ。瑛は桜ちゃんの実家へ行ったらしい。

「ところでさ、 知ってるか?経理の清水課長 奥さんに不倫ばれて家庭内別居らしいぞ 」瑛が話す。

「なんだよ?それ、どこ情報?」初耳だった。

「経理部だよ、経理部ではバレバレだったって! 不倫相手が直属の部下だもんな、加瀬さん実家へ帰るらしい」

「あー、そういえば最近見掛けてなかったかも」納得する。

「あの清水課長がだよ?なんでするかなー?」

「魔が差したのか?本気だったか?」野田が呟く。

「お前らも気をつけろよ」瑛が偉そうに言う。

「オレは大丈夫だよ、何年一緒にいると思っているんだ」野田は自信満々だ。

「オレだって大丈夫だよ」

「お前が一番危ないんだよ!」瑛が指を差してくる。

「気付いたら足を踏み外してたってことにならないようにな!」

オレが一緒に居たいのは七海しかいないから大丈夫だ。

21時半に店を出た。駅前で2人と別れる。 改札近くで明らかに酔った人を見付けた。和田だった。

「よっ!どうした?そんなに酔って」

「うん? ああ神崎か」

「大丈夫か?」

「だい…大丈夫……大丈夫!」

「全然大丈夫じゃないだろ」

ホームへ行き、自販機で水を買い蓋を開けて和田に渡す。

「ほらっ飲んで」

「あ-りがと」

「 電車来たぞ」

腕と肩を支えてベンチから立ち上がらせる。電車に乗ると丁度端の席が空いていたので和田を座らせ座席の前に立つ。降りる駅で和田を立ち上がらせ、抱えるように電車から降りた。一旦ベンチで座らせて、もう一度水を飲ませて少しでも酔いを覚まさせる。

「ここからは近いのか?」

「歩いて…10分…」

「………」タクシー決定だな。ハァーため息が出る。

タクシー乗り場には運良くタクシーが待機していたので和田に住所を言わせて、

「二千円で足りますか?お願いします」と運転手に渡し見送った。

遠回りしたので帰宅は遅くなった。



ドアを開けると…

「 おかえりなさい 」

「 ただいまっ まだ寝ていなかったのか? 寝てていいのに」

‘’びっくりした ‘’
 寝ていると思ったのに、抱き付いて来た。

「 今日は昼に野田と会ったら同期で呑もうってなってさ 」ネクタイを外しながら話す。

「 いつものメンバー?」

「そうだよ」

「ふーん……最近飲み会多いね」

「そうかな?まぁ続いてるな、たまたま だよ。暑気払いもあったしな」

七海がオレの胸に目線を向けた。

「ちょっと汚れているよ」

 突然コロコロを持ち、オレの全身をコロコロとした。

「 もう寝ようとしていたんだ。だから おやすみなさい 」

くるりと向きを変えサッサと寝室へ入っていく。‘’待っていたんじゃなかったのか?‘’

「ああ、おやすみ」

風呂から上がり飲み物をだそうと冷蔵庫を開けると箱がある。覗いて見るとプリンアラモードだった。

‘’一緒に食べようと待っていてくれていたのか?明日、一緒に食べるか ‘’

寝室へ行くとやはり七海は寝ているようだ。オレも疲れた。すぐに寝れそうだ。
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