明日が見えたなら  山吹色

「ただいま、悪い遅くなって…」

 家に帰るとテーブルの上には夕食のおかずが並んでいた。

「あっ」やばっと思う。

「食べてきたの?」

「ああ、ごめん」

「いいよ、食べて来たのなら仕方ないよ。 お風呂入れば?」

「そうだな、汗をかいたし入ってくる」

 浴室へ逃げるように向かった。

風呂から出るとテーブルの上は片付けられていた。

「明日は予定通りフットサルだから」

「どうぞ」と素っ気ない返事だった。

 ‘’どうもまだ機嫌は直っていなさそうだな‘’

何か言いたそうだがわからない。
‘’言ってくれないとわからないだろう!‘’

「何を食べてきたの?」

 ‘’えっ!やはり気になるよな‘’

「カレーライスだよ」言いながら七海の隣に座った。

「彰くんが外食でカレーライスなんて珍しいね」‘’鋭いな‘’

「あっ、いや、オレがパソコン設定してたら作っててさ…」

「何それ、どういう事?アドバイスって男友達ではなかったの?」

「女だけど何もないから!ただの同級生で同窓会の時からパソコン買うのに相談されていて、買ったはいいけど、一人で設置出来ないようだったから、手伝ったんだよ。そうしたらカレーライス作っててさ、悪いから食べてきた」

「………悪いって何?…『作って待ってる』って言ったよね?私には悪くないの?」

「だから、ごめんって」

‘’そんな深刻な顔するなよ‘’

 でもヤキモチ妬いてる顔を見ると嬉しい気持ちが湧いてくる。
 
「ねぇ他に誰かいたの?」

「他って?」顔が緩まないように引き締めた。

「だって部屋まで行ったんでしょう?二人だけだったの?」

「二人だった。ごめん。でもマジに何もないから!」

「…………」

「お風呂入ってくるね」七海は突然立ち上がってまるでオレを視界に入れたくないように向きを変えた。

「もう寝るけど…」後ろ姿に声を掛ける。

「おやすみ」口調から拗ねているようだった。

「おやすみ」

 七海の視線が辛そうで悲しそうな光りを宿していたが、七海のヤキモチに舞い上がり、この状況を軽くみていた。

明日になれば、機嫌は直ってくれると良いが、手強そうだな。

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