ドキドキするだけの恋なんて

「もしもし?どうしたの?」

どうしたも 何も… 

あなたと 係わりたくないんです。


「んっ?別に…今 お風呂 溜めてたから。」

「そっか。あず美 元気そうだね。」

「うん。まあまあね。」


「合コンに 来るなんて 彼氏 いないの?」

「えっ?今日は 先輩に 無理やり 誘われたから。」

「で?今 1人なの?」


「そんなこと… タケルに 言う必要 ある?」

「そうか。俺は 今 1人だよ?」

「へぇ… 彼女とは 別れたんだ…?どうでも いいけど。」


「彼女って 雅代? あいつとは 就職してすぐに 別れたよ。」

「へぇ… そう…?」


就職して すぐって…

じゃ 1年くらいしか 続かなかったの?


私を あんなに 傷付けたくせに。

どうせなら 貫いてよ。


うーん… それも ちょっと 頭にくるけど。


まぁ どうでもいいや。


そうよ。もう どうでもいいのに。

どうして 電話なんか してくるの?


「で?何か 用事?」

「はぁ?冷たくない?せっかく 再会したんだからさ。ちょっとは 懐かしいって 思わない?」

「懐かしいって!?」


「もしかして あず美。まだ こだわってるの?」

「はぁ!?こだわってるわけ ないでしょ!」

「だったら そんなに 冷たくすんなよ?」


「あのねぇ…ううん。もういいや。ごめん 私 お風呂入るから。じゃあね。」

「あず美。スゲー綺麗になったなぁ。逃がした魚は 大きかったよ。」

「馬鹿な事 言わないで。切るわよ?」


「あっ。待てよ。今度 会おうよ。2人で。」

「まっ平ごめん。じゃ おやすみなさい。」


電話を切った後 私は 大きな ため息をついた。

タケルは どういうつもりなの?


笑顔で 再会して ” 元気そうね ” って 

言えない私は 心が狭い?


仕方ないでしょう… 


私はまだ タケルとのことを

乗り越えられて ないんだから。







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