私は彼とあくまでも友達になりたい
***

「…で、どうだったの?図書委員は?」

そう私に聞くのは千夏だ。
今日は、たまたま校門のところでばったり会ったので、一緒に帰っている。

「え?どうだったって…何が?」

「だーかーらー、彰人くんだよ!どうだったの?」

なんだ、弥生くんのことか…。

まあ、そりゃ気になるよね。モテるし。

「うーん。小悪魔っていうか、たしかに魔性って雰囲気はあったなぁ。こう、異性を翻弄(ほんろう)するって感じ?」

やっぱり!と頷く千夏。楽しそうだ。

「あ、でも、そんなに無気力とは思わなかったよ。あっちから話しかけてきたし…。」

「やっぱり!
…って、え!?ええ!嘘!?あの彰人くんが!?」

親友は先ほどまでとは打って変わって驚きの表情を見せた。

「…え?何?驚く要素あった?」

「あったよ!
彰人くんはね、授業中も昼休みも寝てるし、同じクラスの子ですら、うん、と、ごめん、しか喋ってるの見たことないっていうのが有名な話なんだから!」

え!嘘!じゃあ、今日の弥生くんは明らかに異質じゃん!
クラスが違うから普段の弥生くんを知らないけど。

弥生くんってそういう人だったんだ。
でも、言われてみれば、そういう雰囲気もあるかも?

けど、それなら、なんで私には話しかけてくれたんだろ?

謎が多い人だなぁ。弥生くんは。
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