私は彼とあくまでも友達になりたい
第四走者が走る。
彰人くんと福井くんがトップ争い中だった。接戦とはこういうことを言うのだろう。
しかし福井くんの方が少し優勢だろうか。

私の心臓はバクバクと音を立てていた。
胸の前で組んだ手は汗をかいている。

2人が走ることになる時間は多分1分にも満たない短い時間なのだろうが、私にとってはとてつもなく長く感じた。

2人はラストのコーナーに差し掛かり、私の前を通り過ぎる。

「が、がんばれー!!」

私は叫んだ。
それは間違いなく彰人くんに向けられたものだった。

すると、その応援が届いたのか、彰人くんは最後の一直線を真っ直ぐ、かつ、綺麗なフォームを維持したまま、福井くんを少し引き離す。

彰人くんの腹がゴールテープを切った。
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