私は彼とあくまでも友達になりたい
「ごめん、待った?」

彰人くんが向こうから駆けてくるのが見える。

「ううん、全然。」私はお決まりのセリフを言う。

彰人くんは、変装してくると言っていただけあって、いつもと違う雰囲気だった。

青のダメージジーンズに黒のビッグシルエットのプルオーバーパーカー。
黒のローキャップもかぶっていて、しかもしかも…

「メガネ…。」

「そ。変装にと思って。伊達なんだけどね。
姉ちゃんに相談したら、貸してくれた。」

と彰人くんは言った。

お姉さんいるんだ、とまた彰人くんのことを新しく知ることが出来て嬉しくなる。
きっとうちのねーちゃんみたいにガサツじゃないんだろうなぁ…。

長濱祭りのときの彰人くんは何というか、運動部って感じの、Tシャツ、短パンだったけど、今日はなんというか、言葉にするのは難しいけど、いつもとやっぱり違う感じでドキドキした。

「梨花も、おしゃれっていうか、今日もすごく可愛い。」

彰人くんは私のことを褒めてくれた。
ありがとう、千夏。と思いながら、「えへへ、そう?」と言った。

「じゃ、行こっか!」

私が言うと、彰人くんは、笑顔で頷いてくれた。

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