私は彼とあくまでも友達になりたい

弥生くん目当ての女子は、チャイムと同時に全員帰っていった。
図書室には私と弥生くんだけが取り残さてる。

私は弥生くんを起こして帰ろうかと思ったが、弓道部の先輩のことを思い出し、やめておこうかと迷っている時だった。

ガラガラと音を立てて、図書室の戸が開いた。

「おい、図書委員いるか?」

うちの担任の先生が入ってきた。

「はい、ここに。」

私は、返事をした。

「お、西窪か。…お前、一人だけか?」

「いえ。ここに寝てる人がもう一人…。」

私が弥生くんの方を見ると、弥生くんは小さく右手を挙げていた。

それは、ここに自分がいることを表明しているようだった。

「じゃあ、お前ら二人で大変だと思うが、ここにある英和辞書、全部四階の視聴覚室に運んでくれないか?」

無茶な頼みだと聞くだけで分かったが、私は、はい、とうなずく以外の選択肢が思いつかなかった。
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