私は彼とあくまでも友達になりたい
頂上に近づくにつれて、半分沈んでいる夕日に照らされた、遊園地と市街地が見えた。長濱市の方もかろうじて見ることができた。

綺麗。

その言葉こそがその景色を表していた。

「初デート。ここに決めてよかったね。」

「だろ?」

そんな会話を交わす。

「…そうだ。俺、実は梨花に謝んないといけないことがある。ジンクスの話、あれ嘘。」

弥生くんは何の気無しに唇に人差し指をあてて言った。
夕日に照らされたその顔も素敵だった。

「もう!嘘だったの?
…彰人くんは、意地悪だなぁ。」

私が不貞腐れて呟く。

「ごめんごめん。でも、ついつい意地悪しちゃうんだよな。」

まぁ、悪い気はしないからいいけど…。
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