私は彼とあくまでも友達になりたい
私は顔を上げない。なぜなら、その声の人物を知っているから。

──声の主は福井くんだ。

「西窪、こんなところでどうしたんだよ。」

無言の私に、もう一度同じ質問をする福井くん。

「…言いたくない。」

私は声を振り絞って言った。
そんな私を見て、福井くんはため息をつき、

「弥生関係か?」

と私に聞いた。
私はもう喋りたくなくて下を向いたままだった。

ずっとそんな調子の私に痺れを切らしたのか、福井くんは、「別に喋らなくていいから、俺の話聞いて。」と言い話し始めた。
< 159 / 251 >

この作品をシェア

pagetop