私は彼とあくまでも友達になりたい
福井くんの言葉が終わったとき初めて顔を上げた。

福井くんは優しく微笑んでいた。

「じゃ、俺は練習戻るから。
…あと、さっきのは独り言みたいなもんだから、無視してくれていい。」

そう言って、福井くんはしゃがみ、私の髪をポンポンと撫でた。

そして、陸上部のいる方向へ走っていった。

──ありがとう、福井くん、

私は心の中で福井くんにお礼を言う。
そうだね。私はまだ彰人くんのことが好きだ。

──ならこの恋諦めてたまるもんですか!

私の昔からのいいところは、こうと決まれば、真っ直ぐ進めるところだ。
…まぁ、それが短所でもあるのだが。

図書室に戻ろうと決心する私。

しかし、

「あ、梨花ちゃん。」

私は呼び止められてしまうことになった。

「ひ、なちゃん?」

ひなちゃんは、クスッと笑いながら、こちらに向けて手を振っていた。



< 161 / 251 >

この作品をシェア

pagetop