私は彼とあくまでも友達になりたい
「…どうしたの?」

私がひなちゃんに聞く。

「どうしたって、そりゃ、"友達"なんだから声かけて当たり前でしょ?」

今日の梨花ちゃんはおかしいね、と笑うひなちゃんは悪魔のように見えた。

「私、今から帰るところなんだー。梨花ちゃんは?」

「…図書委員に行くところ。」

へぇ、そうなんだとひなちゃんは言った。
そして、

「あ、そうそう。」

と思い出したように、呟き、


「…彰人くんと別れないように頑張ってね。」


私の耳元に囁いた。

その言葉は私を恐怖で支配するのには十分すぎた。

せいぜいがんばれ。そういうことなのだろう。

ひなちゃんはまたニコニコしながら、「じゃあね!梨花ちゃん!」と笑った。

私はじゃあねとも言えなかったし、笑うことすらできなかった。

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