私は彼とあくまでも友達になりたい
「なんで!?」

私はびっくりして聞く。
千夏は中学生の頃からの私の親友だ。
困った時はいつだって相談にのってくれたし、アドバイスもくれた。

しかし、今日は断られてしまった。

そんな私を見て、千夏はため息をつき、

「あのねぇ、デートの服決めるの手伝ってって頼まれるのとは話が違うんだから。

結局選択するのは自分なの、わかってる?

もし、その選択が間違ったときに、アドバイスあげた人のせいにしないとは言い切れないでしょ?

だから、私はアドバイスしない。

他の人からもアドバイス貰ってるのなら、その人のせいにもしちゃダメよ。」

親友は真剣な目で言った。
その目を見るのは、私が彰人くんのところに告白しに行こうと決心したあの文化祭の日以来だった。

私は、そんなことしないに決まっている、と言いたかったけれど、心の隅では、もしかしたらアドバイスを貰うことで、『彰人くんとうまくいかなかったのは自分のせいというだけではない』という保険が欲しかったのかもしれない。

「わかった。ありがとう。」

私は千夏にそう言った。
千夏は笑っていた。いつもの優しい目に戻っている。

「あと、いいこと教えてあげる。なんてったって"大親友"の千夏様ですから。

──行動は早い方が吉、よ。」

意味深な一言を発して、親友は前を歩く友達のとこに行ってしまった。

千夏のことだから、また何か情報を手に入れていたのかなぁ?

そう思いながら、弥生くんにメッセージを、と思いスマホを取り出す。
行動は早い方が吉らしいから。

『今日の放課後、部活前に話がしたいの。体育館裏で待ってて。』

そう打ち込み送信した。
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