私は彼とあくまでも友達になりたい
***
side 佐々木ひな
私が弥生彰人と出会ったのは高校生になってからだった。
私はいわゆる高校デビュー族というやつで、不良グループに属することになった。
ちなみに、私はそういう人間じゃない。
しかし、人の繋がりを大事にしたい私は、そのグループを抜ける気持ちもなかった。
そして、そのグループでは流行っていることがあった。
イケメンの男子に告白して、付き合えるまでそれを繰り返すというものである。
私がターゲットにして欲しいと言われたのが彰人くんだった。
初めは、なんとも思ってなかったから、好感度上げまでは、無心にこなすことができたのだが。
しっかり目を見て話す彰人くんに心を奪われた。
そして、1回目の告白。私は振られた。
彰人くんに振られたのは悲しかったが、それ以上に、この変な流行りから解放されるのでは?という思いが強かった。
そんな中だった。不良グループのある女子に、『この写真でおどせ』と言われた。
その結果がこれだった。
今は、彰人くんの前で写真を消した後の帰り道。
「どうしたの?ひな?つまんないよー、今日。」
キョトンとしながら聞く女友達。
「…黙って。」
私はもう疲れたし、今という現状から逃げ出したかった。
それは私にとっては勇気がいることだったと思う。
「…私、告白するのやめるし、グループも抜ける。」
初めからこうしておけばよかったのかもしれない。
でも、グループの思惑に動じず言い返した彰人くんと最後まで好きを貫き通したい梨花ちゃんに勇気をもらったから、今日こうして言えたのかもしれない。
まあ、その二人の愛を切り裂こうとしたのも私なのだが。
もしかしたら、グループと円満な解決はできないかもしれない。
でも、それでいいんだと思う。
私にとってはちょうどいいお灸だろう。
──凛々しく生きてみよう。
そう考えた時間は多分人生の何千兆分の一にも満たない時間だっただろう。
けど、私の心に大きな変化をもたらした時間だった。
side 佐々木ひな
私が弥生彰人と出会ったのは高校生になってからだった。
私はいわゆる高校デビュー族というやつで、不良グループに属することになった。
ちなみに、私はそういう人間じゃない。
しかし、人の繋がりを大事にしたい私は、そのグループを抜ける気持ちもなかった。
そして、そのグループでは流行っていることがあった。
イケメンの男子に告白して、付き合えるまでそれを繰り返すというものである。
私がターゲットにして欲しいと言われたのが彰人くんだった。
初めは、なんとも思ってなかったから、好感度上げまでは、無心にこなすことができたのだが。
しっかり目を見て話す彰人くんに心を奪われた。
そして、1回目の告白。私は振られた。
彰人くんに振られたのは悲しかったが、それ以上に、この変な流行りから解放されるのでは?という思いが強かった。
そんな中だった。不良グループのある女子に、『この写真でおどせ』と言われた。
その結果がこれだった。
今は、彰人くんの前で写真を消した後の帰り道。
「どうしたの?ひな?つまんないよー、今日。」
キョトンとしながら聞く女友達。
「…黙って。」
私はもう疲れたし、今という現状から逃げ出したかった。
それは私にとっては勇気がいることだったと思う。
「…私、告白するのやめるし、グループも抜ける。」
初めからこうしておけばよかったのかもしれない。
でも、グループの思惑に動じず言い返した彰人くんと最後まで好きを貫き通したい梨花ちゃんに勇気をもらったから、今日こうして言えたのかもしれない。
まあ、その二人の愛を切り裂こうとしたのも私なのだが。
もしかしたら、グループと円満な解決はできないかもしれない。
でも、それでいいんだと思う。
私にとってはちょうどいいお灸だろう。
──凛々しく生きてみよう。
そう考えた時間は多分人生の何千兆分の一にも満たない時間だっただろう。
けど、私の心に大きな変化をもたらした時間だった。