私は彼とあくまでも友達になりたい
***

「あ!そうだ!彰人くん、何でここに来たの?私、体育館裏って言った気がするんだけど…。
…あ!それに、部活は?」

私はふと浮かんだ疑問を彰人くんにぶつける。

「梨花があまりにも遅いから、心配で探しに来たから。
部活は、遅れるって伝えてあるから平気。」

順番に彰人くんは私の質問に答えた。

「あ、そっか…。ごめんね。」

「別にいいけど。
で、話って何のことだったの?」

今度は彰人くんが私に聞く。

「あ、えっと、ひなちゃんと彰人くんの告白現場見て、それで、彰人くんの気持ち次第ではお別れしようと思ってて…。」

私は彰人くんにそう告げる。そして、

「好きな人の幸せについてここ最近ずっと考えてたの。でも、私には難しかった、
自分の好きって気持ちを天秤にかけるの?って。
だから、お別れを告げるのは変かなって思ってた。
私ね。もう一度、告白するつもりだったの。
それなら、自分の気持ちも相手の気持ちも尊重できるかなって。」

と付け足した。

彰人くんは私の言葉にふふっと笑い、

「そんなに考えてくれなくても、俺は梨花がいてくれたら幸せだよ。

それに、梨花がいないと掴める幸せも掴めないよ。

だから、ずっと俺のそばにいてよね。梨花。」

と私の瞳を見据えて言った。

涙でさっきまでぐちゃぐちゃだった私の顔は、多分一気に赤くなった。

「照れてるの?可愛い。」

彰人くんはまた、私が照れてるとわかり、からかうときの顔で可愛いと言った。
もっと照れると思われているのだろうか。

──正解です。

私は、こうやって彰人くんに可愛いと言われるのが嬉しくてまた泣きそうになった。

私の頭をそっと優しく撫でる彰人くんは、微笑んでいた。
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