私は彼とあくまでも友達になりたい
***

「ただいまー。」

私は帰ってきて、誰もいない家の中に向かって呟いた…と思っていたのに、

「おかえりー。」

今日は高三の姉、『西窪美香(にしくぼみか)』がいた。声がした方向からしてリビングにいるのだろう。

「あれ、おねーちゃん。今日早かったね。部活は?」

リビングの方を覗くとアイスを食べる姉がいた。

「職員会議で休みだった。コンクールまでもうすぐなのにー。」

姉は、長濱高校とは違うオーケストラ部の強豪校に通っていて、そこに所属している。

「ふーん。あ、そうだ。おねーちゃん。私さ、一回病院行こうと思うんだよね。」

「なんで?」

「最近、よく胸がどきりってするの。変でしょ?」

私が聞くと、姉はハハーンと笑いながら、

「別に変じゃないよ。なんなら、私が診察してあげようか?多分、原因わかったよ。」

「嘘!?何なの?」

すると姉は意地悪に笑い、

「教えてあーげない。…にしても、青春だねぇ。」

と言った。

「弥生彰人くん、友達100人目だったっけ?がんばりなよ。たぶん、最高難易度だぞー。」

そしてまたアイスを食べる姉。

…てか、そのアイス、私が買ってたやつなんですけど!?
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