私は彼とあくまでも友達になりたい
「じゃあ、とりあえず、ケーキ屋行こ!そこの店ね。私が小さい頃から行ってて。今でも何かお祝いごとがあると、そこのケーキ食べるんだー。あ、なんのケーキかは、行ってからのお楽しみね。」

彰人くんは小学生みたいにはしゃぐ私を見て、ふふっと笑い、

「うん、わかった。楽しみにしとく。」

私の頭にポンと手を置きながら、そう言った。

「え、あ、あ、頭…。」

私は照れて彰人くんの方を直視できないまま言った。
私の言葉に、彰人くんは頭から手をのけて、

「ん?ああ。梨花の頭ってふとした瞬間に撫でたくなるんだよね。髪サラサラだし。

…それに、照れてる梨花を見られるのも楽しいしね。」

と照れもせずに言う。
今日一日耐えられるかな。このドキドキに。
そう思いながらも、私達は歩き出した。ケーキ屋の方向に。

…彰人くんがさりげなく手を伸ばしてきたから、恋人繋ぎで。
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