私は彼とあくまでも友達になりたい
***

ケーキ屋──『Dear』の前についてもなお、彰人くんは手を離さない。
そして、私もそれが嬉しくてついつい、手を離さずにいる。

「ここ?」

彰人くんが私に聞く。

「そうだよー!」

私はそう言って、彰人くんの顔を見る。
…彰人くんは、少し眉をひそめていた。
私はその表情に焦りを感じながら、

「…もしかして、甘いの苦手だったりした?」

恐る恐る聞いた。
すると、彰人くんは、ハッとして私の方を見て笑い、

「ううん。知ってる店だったからびっくりしただけ。」

と言った。
私はその言葉に少し違和感を覚えつつ、『Dear』の扉を押した。
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