私は彼とあくまでも友達になりたい
私は頑張って背伸びをする。

…キスをするために。

これで、私からキスするのは2回目。
やっぱり慣れないし、これからも一生慣れることはないんだろうなぁ…。

目を瞑りながらそう思う。

でもでも、彰人くんがこれで照れてくれるのなら、私は日頃の恩返しが少しくらいできると思っている。

…まあ、ただの自己満足でしかないんだけど。

「…ぶはっ。」

彰人くんの笑い声で、私は背伸びしている足を下ろしながら、目を開く。

「な、なんで笑うの！」

「ごめんごめん。だって、背伸びしても、俺の口に全然届いてないんだもん。」

腹を抱えて、クククと笑う彰人くんを見ると、私は怒るに怒れなくなる。
その代わりに、恥ずかしさが、ぼんっと込み上げてきて、その場にしゃがみ込む。

「彰人くんの、ばか…。」

私は呟く。下を見ながら。

「ごめんって梨花。」

多分、彰人くんもしゃがんだのだろう。
彰人くんが目の前に来る感覚があった。

「…あのさ、顔あげて？」

彰人くんが言う。だから、私は反射的に顔を上げる。
もう！そう言おうとした瞬間だった。

──私の唇は塞がれた。
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