私は彼とあくまでも友達になりたい
体育館に移動し終えた私たちは、準備運動をして、すぐに試合の体制に入る。

試合開始の笛が鳴る。第一試合が始まった。

私達は中々のコンビネーションで、相手の1組を圧倒していた。

中々いけてるんじゃない?私たち。

ちょっと調子に乗りながら、私はレシーブをした。

上手いこと返球できた。
ありがとう、菜穂ちゃん。蓮美ちゃん。練習に付き合ってくれて。

練習の成果だと思い、心の中でお礼する。
菜穂ちゃんがスパイクを打って、こちらに一点が入った。
さすが菜穂ちゃん。バレー部の力は偉大だね!

キャットウォークをチラリと見ると、同じクラスの男子が応援してくれていた。
でも、私は無意識に、弥生くんのことを探していた。

さっき、キャットウォークの方に行ってたし、いるはずだよね?

男子の方は第一試合は4組と5組。
で、弥生くんは1組で私は2組だから…。
多分、1組の子応援してるんだろうなぁ…。

そのとき、何故か、私のことも応援してくれたらいいのに…。という思考回路が通り過ぎた。

その瞬間だった。
私はよそ見をしていた。

「危ない!!」

蓮美ちゃんの声がした。慌ててアンダーレシーブの構えをしようとするが、時すでに遅し。勢いよく顔面でレシーブをする羽目になった。私は後ろの方向に倒れる。

「いったあ…!!!」

そんな声が出た。
ボールはもう地面に転がっていた。

相手のスパイクを打った子や、私のチームの子はこちらへ駆け寄ってきていた。

「大丈夫!?」

「鼻血!保健室行ったら!?」

今抜けたら、迷惑なんじゃ…。そう思ったけど、心配してくれてるし…。という思いが勝った。

「…うん、そうする。よそ見してて、ごめん。」

ほとんど最後の力を振り絞ってそう言った。
危ないから着いて行こうか?と、ベンチの子が言ってくれたけど、大丈夫、と言い、私は体育館を出た。
< 23 / 251 >

この作品をシェア

pagetop