私は彼とあくまでも友達になりたい
***

補習対策も終えて、私は弥生くんと帰ることになった。

外はまだ雨が降っている。

でも、私は傘、持ってるんだよなぁ。

そうドヤ顔で思い、傘立てを見た。
しかし、私の傘がない。

え?嘘!なんで?ちゃんと朝持って来たよ?

そのとき、私のスマホが鳴った。千夏からメッセージだった。

『傘借りた。メンゴ!!(゚∀゚人)』

らしい。顔文字が腹立つ。

にしても、どうやって帰ろう?
濡れるのは嫌だよ?風邪ひきたくないし…。

…弥生くんが傘を持ってたら入れてもらお。そう思い、隣の弥生くんをチラリと見る。

紺色の傘を広げているところだった。
やった。いれてもーらおっと。

「ねえ、弥生くん。傘入れてくれる?」

弥生くんの肩が濡れるかもと思うと、少しばかり気が引けるけど、こればかりは許して欲しいなーなんて?

「何?傘忘れたの?」

弥生くんは気怠げにそう言った。

「えへへ。実はそうなの。」

厳密に言えば、持って来ていたのだが、説明がめんどくさくて、嘘をついた。

「…はぁ。じゃあ、これ使いなよ。」

弥生くんは折り畳み傘を差し出してきた。
弥生くん、用意いいのね!

「…別に西窪をこの傘に入れるのはいいとして、俺の肩は濡れてもいいけど、西窪の肩を濡らすのは気が引ける。」

別にいいのに。

そう思ったけど、濡れない方がいいと思い、傘を受け取ろうとした。
したのだが…。

「それとも、俺と相合傘したかった?」

ニヤリとしながら弥生くんが言った。
相合傘って…カップルがするもんだよ?弥生くん。
私は君と友達になりたいだけだもん。

…あれ?だけ、だよね?
もしかしてだけど、ドキドキするのもざわざわするのも…。

「そういうんじゃないもん!」

私は照れ隠しなのかそう言い、弥生くんから折り畳み傘を受け取った。
< 33 / 251 >

この作品をシェア

pagetop