私は彼とあくまでも友達になりたい
図書委員4回目
七月の図書委員会。

梅雨は明けて、青空が広がっていた。
司書の先生と私は歩きながら図書室に向かっていた。

「あの本良かったよー。読んでみたらいいと思う。多分、高校生はキュンキュンすると思うよー。」

「そうなんですか!読んでみます。」

そんな話をしながら図書室についた。
図書室の引き戸に手をかけようとした瞬間。
中に誰かいることに気づいた。

「彰人くんのこと、好きなの!
お願い、付き合って!」

中からそんな声がした。チラリと扉をすかして中を見てみると、弥生くんと、例の弓道部の先輩がいた。
初めて、弥生くんが告白されているのを見た。
というか、告白現場自体を初めて見た。
ドキドキしながらその行方を見守る。

すると弥生くんは口を開いた。

「すいません。嫌です。」

え、うそ!美人さんなのに!

「どうして…!?」

信じられないというように、弓道部の先輩が口を開く。

「俺が嫌だから。
…それ以上の理由いらないでしょう?
あなたが俺のことを好きだから告白した。俺は俺が嫌だから断ります。」

弥生くんは頭も下げずに、先輩のことを見据えた。

「なっ…!」

その後、泣きながら弓道部の先輩は走って出て行った。
弥生くん、あんな風に女子の告白振ってたんだ。
私は千夏が、悪魔だのギロチンだの言っていたのを思い出した。
確かにこの断られ方は傷つくだろうなぁ。

「…中に入りづらいわね。」

司書の先生は言った。

私は、こくりと頷いた。
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