私は彼とあくまでも友達になりたい
司書の先生は、用事が他にあるからと、弥生くんは、教室に取りに行きたいものがあるからとどこかへ行ってしまった。

一人きりの図書室。
振り子時計の音だけが響く。

弥生くんは、告白される前、読書をしていたようで、カウンターの上には分厚い本が一冊あった。しおりの位置から考えるに、もう半分以上読み終わってそうだ。

なら、私も読書しよ。

珍しく宿題を終わらせている私はそう思い、本を探しに行く。

司書の先生が言ってた本にしてみようと思った。



その本は案外早くに見つけることができた。

しかし、

──手を伸ばしても背伸びしても届かない!

私は平均身長くらいなのだが、本棚が大きすぎる。

司書の先生は身長が高いから優に届くんだろうな
と取れない本を見ながらそう思う。

仕方ない、脚立持ってこよ。

そう思い、動こうとしたときだった。

「…取れないの?」

急に声をかけられ驚く。
弥生くんが帰ってきたようだ。

うん、と私が言うと弥生くんは背伸びもせずに、ヒョイっととってくれた。

「ん。」

本を差し出す弥生くん。ありがとう、と言い私はそれを受け取った。

「にしても、弥生くんは背が高いねぇ。何センチなの?」

私が聞く。

「うーん、4月に測ったときは176センチだったかな。」

彰人くんは顎に手を当てながらそう言った。

「やっぱり大きいなぁ。バレー部だもんね。」

私が言うと、弥生くんは、

「西窪は何センチなの?」

と聞く。

「え、私は159だったかなぁ…。」

うろ覚えの数字を言う。

「可愛いな。」

弥生くんはそう言った。サイズ感が可愛いと言う意味だろう。

「もう!小さくないもんね!彰人くんが大きいだけだからね!」

私は不貞腐れながら、カウンターの方へ向かった。

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