私は彼とあくまでも友達になりたい
ちなみに、弥生くんはモテる。すごく。
私の友達の中だけでも、何人も弥生くんのことが好きって言ってる子がいた。
私は、初恋すらしたことがないので、恋心についてはよくわからないのだが、その友達たちはとても可愛くてキラキラしていた。
そんなこんなでときは過ぎ、弥生くんと図書委員の当番まであと4日。
私はワクワクしながら高校生活をエンジョイしていた。
そんな中、親友である『中野千夏』と登校する機会があった。
千夏は高い位置で結んだポニーテールが良く似合う、ぱっちり目の女の子だ。私と違って、可愛い。
性格も、さっぱりしていて、好感が持てる。
そんな彼女に弥生くんと図書委員になったことを告げた。
すると、
「え!?彰人くん!?あの『無気力小悪魔イケメン』!?」
と驚いていた。
「え!?千夏、弥生くんのこと知ってるの!?」
私も驚いて聞いた。
千夏は情報通だから、知っていてもおかしくないと思っていたけど…。
「知ってるも何も、超有名だよ。告白を次から次へと切り落とす『悪魔のギロチン』って…。
でもでも!そう呼ばれててもみんな好きになっちゃうくらい、超イケメンなの!」
親友は、そう捲し立てた。興奮気味に言っていてちょっと引いた。
たしかに、私もこの間、ナイフっぽいなと思ったけど…。
ぎ、ギロチン?
…なんとも仰々しい名前がつけられてるのね、弥生くん。
そんな人なの?
それにしても、『悪魔』、か…。
「…私は、『悪魔でも』友達になりたいかなぁなんて?」
恋人になりたいのではなく、『あくまでも』友達になりたいという私の気持ちと、『悪魔』であることをかけてみた。
「寒いよ。梨花。」
親友は冷たい目で私を見た。