私は彼とあくまでも友達になりたい
「弥生くん…!」

会いたかったよ。そう言って抱きついた。
自分でも思い切った行動だったと思う。

「…良かったよ、見つかって。中野が何回連絡入れても出ないから、どうしたのかと思って探し回って…。とりあえず、集合場所行こ?」

弥生くんは、そう言って、優しく私に手を伸ばしてくれた。
でも私は、

「ごめんね。弥生くん。ワガママ言ってもいい?
…ここで一緒に花火見ない?」

そう口に出していた。
本当に弥生くんも千夏も困らせてばかりなのに、まだ困らせて。

最低な人間だと思う。でも、もう止まらなかった。

「お願い、弥生くん。二人きりでいたいの。
なんでだか、不安で…。」

私は弥生くんの返答を待った。
弥生くんは、

「いいよ。いいけど、中野に合流できたとだけ伝えといて。あいつ、お前がいなくなって泣くほど心配してたから。」

そう言った。その顔には微笑みが張り付いていた。

「…わかった。」

私は、涙を流しながら頷き、連絡を入れた。
すぐに既読がつき、『合流したならいいよ!』と来た。どこまでも優しい親友だと思った。
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