私は彼とあくまでも友達になりたい
***

「やよ、彰人くんはさぁ…。」

危なかった。今のは非常に危なかった。
そんな私のことを彰人くんは、ぷっと笑い、

「俺がどうしたの?梨花。」

私が照れるのを知った上で、下の名前を呼ぶ。
ゲーム開始から10分たった今もそれに慣れることができない。

「…大したことじゃないんだけどね。私、彰人くんの連絡先知らないなぁって。」

「あぁ、そういえばそうだったな。」

彰人くん、全然私が彰人くんって言っても照れないなぁ。
むしろ、かわいい、とか、下の名前呼び、とかで私の方が照れちゃってるよ…。

「ん、じゃあ交換しよ。」

そう言い、彰人くんは自分の連絡先のQRコードを見せてきた。
私も自分のスマホを取り出し、それを読み込む。
画面には『弥生』と表示された。

「うん、うん。登録できた。ありがとう!弥生くん!」

私は気づくのに2秒かかった。

「…負けました。」

だって、名前表示を『弥生』だったから、つられちゃったよ。

「うん、うまく引っかかってくれてありがと。」

弥生くんはまた意地悪そうに笑ってた。

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