私は彼とあくまでも友達になりたい
「彰人くん。では、もう煮るなり焼くなり好きにしてください。」

ゲームは終わったけど、なんとなく名前呼びは続行する。だってカップルっぽいし。
私はアップルパイを手にとりながら、彰人くんの言葉を待った。

「実はもう決めてるんだよね。
…梨花とキスしたい。」

私は思わず、しゃくりと一口食べたアップルパイを落としそうになった。

キス。

その二文字で私の脳みそは埋め尽くされ、それこそ今食べているアップルパイのリンゴよりも赤く私の頬は染まっていただろう。

「き、キス…。」

「そう、キス。」

いい?、彰人くんは首を傾けて言った。
もちろん拒否権はないよ?と言いそうな顔だった。

「いいです…よ?
焼きそばとアップルパイ食べた後の口だけど…それでいいなら…」

私は、彰人くんの方をチラリと見ながら言った。直視したら恥ずかしくて死んじゃう。
それに、私は照れて変な声が出た。

もちろん、と彰人くんは言っていた。
やっぱりかっこいいなぁ…。
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