私は彼とあくまでも友達になりたい
私は目を瞑り、唇に意識を集中させた。
もちろん、キスなんて初めての経験だ。どうするのが正解なのか分からない。
ドキドキと鼓動の音がよく聞こえた。

目を瞑って7秒くらいしたとき、その感触はきた。

その感触は甘い電流のようなものになって脳に届いた。
全身に幸福感が広がる。

私はそれを唇が離れる瞬間まで噛み締めた。

それから後、私たちは、無言で見つめあった。
それは一瞬のような永遠のような時間だった。

「…かわいいよ。梨花。」

弥生くんは、私をまっすぐ見つめ、そう言った。
私はその瞳に吸い込まれそうだった。
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