私は彼とあくまでも友達になりたい
***

練習終わり、私は校内の自動販売機の前にいた。
もう時間が遅いからか、あたりには誰もいない。

すごい汗かいたー。こんなに運動したの久しぶり。

さぁ、何飲もうかなぁ。スポーツドリンクかな?

そんなことを考えていると、首筋にヒヤリとした感触が走った。

「ひゃっ!」

慌てて、後ろを振り返ると、スポーツドリンクのペットボトルを持つ彰人くんがいた。

「ごめんごめん。驚かせて。」

彰人くんは歯を見せて笑っていた。
手に持つペットボトルを私のうなじにあてがったのだろう。

「もう!びっくりしたよ。
…というか、校内なのに話していいの?」

ぷんぷんと怒りつつも、私が率直な疑問を聞くと、

「あんまり良くないけど、人いないし、さっきまで練習してた梨花があんまりにも可愛くて来ちゃった。」

彰人くんはそう言った。
…さりげなく可愛いとか言われると照れちゃうよ。

「それに、他の男子と絡んでるの見て、嫌になった。
…ねぇ、梨花。
俺、そういうことされると嫉妬するほうなんだけど。」

他の男子とは、福井くんのことだろう。
というか、彰人くんでも嫉妬するんだ。
嫉妬するのは私ばかりだと思ってた。

にしても、嫉妬。

その言葉だけで私の頭はゆでだこになっちゃいそうで。
ほんとに彰人くんは2人きりの時だと積極的です…

「大丈夫だよ。彰人くん。確かに、福井くんにはちょっと前に告白されたけど、お断りしたし、相手も諦めてるはずだよ。」

そう私が言うと、彰人くんは深いため息をつき、

「梨花は鈍感だから、気をつけなよ。」

と言った。
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