私は彼とあくまでも友達になりたい
***

side 福井春樹

俺、福井春樹は確実に西窪梨花のことが好きだ。

見た目も中身も平凡なはずなのに、その中にどうしようもないほど、人を惹きつける魅力があった。

俺はまんまとそれに惹かれた男だった。

だから、告白もした。
…結果は残念なものだったが。

でも、それでも、俺は諦めきれなかった。

だから、この体育祭の練習後にもう一度想いを伝えようと思っていたのだが。

…俺は見てしまったのだ。自動販売機の辺りで話す西窪と弥生を。仲睦まじい2人の姿を。

その時俺は悟った。あぁ、俺の恋はもうどうしようもないのだと。

俺は、もう帰ろうと思い、踵をかえそうとした。しかし、その瞬間、弥生と目があった。弥生はうっすら俺の方を見て笑っていた。

悔しい…という気持ちが胸に広がる。

…でも。

その事実で俺の中で何か火がつく音がした。
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