私は彼とあくまでも友達になりたい
***

体育祭当日。

私はトイレの鏡の前でボブヘアをハーフアップにして、白のハチマキを巻いた。
うん。我ながら白色が似合ってない。

蓮美ちゃんには似合ってるって言われたけど、自信ないなぁ。

トイレから出て、グラウンドへ移動する。
その途中の階段に足をかけた時、

「あ、梨花。」

声をかけられた。
誰かは声だけでわかった。

「千夏、と…」

振り返るとやはり千夏がそこにいた。
その隣には…

「ひなちゃん!」

「ヤッホー。」

ひなちゃんがそう言う。
佐々木(ささき)ひな、ひなちゃんがそこにはいた。
ひなちゃんは弥生くんと同じ一組の子。今も一組のカラーである赤のハチマキを巻いている。よく似合うなぁ赤。
にしても、なんで五組の千夏と一緒にいるんだろ…。
私のその疑問に答えるように、千夏が、

「さっきそこであってさ。
私たち保健委員で。体育祭の運営委員に当たってるんだよね。それで、仲良くなったの。
ね、ひなちゃん!」

と言った。ひなちゃんも、うん!と頷いていた。

「そうなんだ。
…にしても、ひなちゃんは赤色が似合って、千夏は黄色が似合うなぁ。私の白にあってないでしょ?
2人が羨ましいよ。」

ほんとに羨ましい。
だって、このハチマキ姿彰人くんにも見られるんだもの。
うー。もっと似合う色のクラスになりたかったなぁ。

「大丈夫、バッチリ似合ってる。」

千夏は右手でOKサインを作ってそう言った。

それでも自信が持てない私はもしかしたら、自分に自信がなさすぎるのかもしれない。
< 99 / 251 >

この作品をシェア

pagetop