早く君に好きだって言われたい。


   *


「ちゃんと着てきたね! じゃ、メイクしてあげる」

「……うん」


あの後は、彼女に言われるがまま注文してしまった衣装……もこもこの生地にパステルピンクのトップスと丸いしっぽのショーパン、ソックスにウサギの耳カチューシャ。お腹出てスースーするよ……


「やっぱり素材いいし、かわいいなぁ。きっと、彼もイチコロじゃない?」

「そんなことないと思うけど」


彼女にメイクをしてもらい、ランチをして……駅に向かった。


「華南っ……!」

「……あ、友喜……」


もうすぐ駅に着くってところで友喜とバッタリ会ってしまった。まだ、なんの覚悟もできてないのに。


「華南、話……しよう」

「うん」


途中まで来た彼女に「私は退散しまーす」なんて言ってどこかに行ってしまった。


「……まず、謝らせて。ごめん」

「え?」

「この前いたやつ……ただの幼なじみだから」


幼なじみ……?


「しかも、人妻だ……俺、好きな人いるし」


……え? 好きな、人……。


「俺は、俺が好きなのは─︎─︎─︎─︎」

「好きっ……友喜のことが好きだよ」


めちゃくちゃ勢いで言っちゃったよ……どうしよう。

もう、終わったかも。



< 12 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop