早く君に好きだって言われたい。
『だ、誰だよっ』
『んー? 秘密。でも、聞かせていただきましたよ、彼氏くんの言い分は別れたい、今までのお金を払って欲しい……ですよね?』
……本当に誰なんだろう。
『なら、私が代わりに払おうか。これどーぞ』
『….えぇ!?』
その人は、髪を揺らし綺麗に包まれたお金を取り出した。悠真はそれを受け取るとどこかへと走り去ったけど。
『あ、あの……ありがとうございました』
『うん、いいよ。アレ、イベントでもらった賞金だから。それに君、泣きそうだったし』
私……泣きそうだったのか。
『えっと……あなたは?』
『あ、そうだった。俺、桐野。桐野友喜』
去年のハロウィン。
仕事帰り、仮装のまま……彼氏にふられました。そして、その時出会ったのが現在、隣でコーヒーを優雅に飲んでいる彼だったりする─︎─︎─︎……。