早く君に好きだって言われたい。
「まぁ、あんたモテるし何しなくても女の子達が近づいて来たかもだけど……今回は、違うでしょ?」
「そう、だな……」
「好きならちゃんと伝えたほうがいいよ、伝えなきゃ何も始まらないよ……って、別居中の私は言えないかー」
……ん?
べ、別居?
「別居って聞いてないんだけど」
「言いそびれたんだよー! ねぇ! スマホ貸して!!」
百合は俺からスマホを奪い取ると、ロックを解く。いつパスワード知ったんだ……と思ったが。
「ゆはー! 彼女ってこの【華南】って子? なんで読むの?」
「はな、だけど」
「りょーかい! じゃあ[ハロウィンの日、話がしたいから駅に来て]っと」
「ちょっ!? 何やってんだよっ」
俺がスマホの画面を見たときには時すでに遅しで……
「あんたが、ちゃんとしないからじゃん。ちゃんとハロウィンの日会いなさい。その前に電話しなさい」
「……っ……」
「出来ないなら、その子のこと諦めな」
そう言って百合は「私帰るわ」とさっさと支度を済ませマンションを見に行った。
俺は百合の言った通り、電話帳を開き発信ボタンを押す。彼女の声が、聴きたくてたまらない。
《友喜side》終