あなたの左手、 私の右手。
自分の状態がわかるからこそ、焦りだけが大きく膨らんだ。

『ガターンッ』その時思い切り体のバランスを崩して倒れてしまった。

不思議と痛みは感じない。

「・・・?」
物音で目が覚めたのか、おばあちゃんが寝室から出て来た。

いつもおばあちゃんと目を合わせた瞬間が一番緊張する。
記憶が曖昧な日は目がしっかりとは合わない。
記憶がはっきりとしている日はちゃんと目が合う。

「美羽ちゃん?どうしたの?」
この声に私は心から安堵して、一気に体から力が抜けた。

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