あなたの左手、 私の右手。
満員電車の中でたくさんの人に埋もれるようにいた彼女。

小さな体に秘められた大きなパワーを知った時から、どんどんと心惹きつけられた。

彼女が笑うと俺までうれしくなる。もっと笑ってほしいと思う。
くだらない話をしてまでも彼女の笑顔を欲しがる自分に冷静になってから少し恥ずかしくなるくらい俺は必死になることもある。

彼女の秘めた強さと弱さの両局面を知ると、強さを支え、弱さを守りたくなる。
そばにいて、いろいろな感情を感じて前に進もうとする彼女の姿をずっと見つめていたくなる。

ほかの誰かが一緒にいるかもしれないと想像するだけで年甲斐もなく嫉妬してしまう。

大阪の出張でよその男に狙われる彼女を見た瞬間、俺の中で一気にその想いは加速した。

彼女の過去を知った時、正直その時にそばで支えられなかった現実を悔しくさえも思った。
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